JB編集委員長 門松 健治(名古屋大学大学院医学系研究科)

 

1922年初代編集長に就任した柿内 三郎教授の下で創刊されたJournal of Biochemistryは、日本生化学会の公式ジャーナルとして長く輝かしいな歴史を積み重ねてまいりました。そして、歴代編集長の惜しみない努力に応え、Journal of Biochemistryは国際的にも名の知れた、一流の生化学ジャーナルに成長いたしました。

 

直近では、大阪大学の菊池 章教授が編集長として4年の任期を終えられました。その間、その他多くの学会誌同様、当誌もいくつもの苦難に直面してきました。とりわけ、多様化し続ける生化学分野の中で、魅力的な投稿先の増加とともに、良質な投稿を確保するための競争は、大きな課題でした。そのような環境の中、4年間当誌の発展のために奮闘を続けてこられた菊池教授には、この場をお借りして改めて感謝の言葉を申し上げたく存じます。

 

将来のことに話を移しますと、私は当誌の強みを引き続き生かしつつ、いくつかの変化の導入を考えております。迅速な論文査読を実現し、新たな発見、特にエキサイティングな結果を広く発信する重要性は皆様周知のとおりです。2017年のRapid Communicationは投稿から初回判定までの平均査読期間はわずか9日で、ウェブ出版までの平均所要期間は1週間を下回りました。2018年からは著者へのさらなるアピールとして、すべてのRapid Communication論文を出版後3ヶ月間、フリーアクセスとして公開いたします。

 

また、菊池前編集長が考案された各巻の1月・2月号に企画されているJB Special Reviewsの成功に追随する形で、2020年からレビューや原著論文を依頼して編む特集号の開始を予定しております。加えて、最新トレンドや見解を読者の皆様にご紹介できるよう、画期的な研究に関するコメンタリー論文の依頼も進めて行こうと考えております。

 

当誌は生化学領域全般を対象とし、生化学および分子生物学に関わるどのようなトピックの投稿も歓迎しております。学術分野の細分化が盛んな昨今ではございますが、学術出版において最新の研究成果のスムーズで迅速な公開と共有が可能となった非常に心躍る時期でもあります。

 

Journal of Biochemistryの編集長として、先達の皆様に恥じぬよう邁進してまいりますので、皆様、今後とも変わらぬご愛顧をどうぞよろしくお願いいたします。