第22回日本生化学会 JBS バイオフロンティアシンポジウム The 18th International Zebrafish Conference (IZFC2024)

1)シンポジウムタイトル
The 18th International Zebrafish Conference (IZFC2024)

URL:https://www.izfs.org/education/18izfc

2)オーガナイザー、組織委員
⽯⾕ 太(⼤阪⼤学)
仁科 博史(東京医科⻭科⼤学)
杉本 幸彦(熊本⼤学)
平⽥ 普三(⻘⼭学院⼤学)
森 和俊(京都⼤学)
岸⽥ 昭世(⿅児島⼤学)
花⽥ 俊勝(⼤分⼤学)
⼩林 ⿇⼰⼈(筑波⼤学)
中村 暢宏(京都産業⼤学)

3)シンポジウムの趣旨
 ゼブラフィッシュやメダカなどの⼩型⿂類は飼育が容易で、遺伝学・発⽣⽣物学・細胞⽣物学のモデルとして注⽬されてきた。近年は幹細胞⽣物学や再⽣医学、がんや感染症、神経変性症等の疾患関連医学、治療薬探索等、幅広い医学研究でも利⽤されている。とりわけゼブラフィッシュは世界の1500 以上の研究室で使⽤され、欧⽶の研究機関ではマウス同様の共通飼育施設があるなど、マウス・ラットに次ぐヒトモデルとして注⽬されている。
 ゼブラフィッシュを扱う研究者は、欧⽶で同時に実施されたゼブラフィッシュの⼤規模変異体スクリーニングが発表された1990 年代前半から増え始め、当初は⽶国ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバーで、後に⽶国ウィスコンシン州マジソンに場所を移して、2年に1度、国際ゼブラフィッシュミーティングを開催してきた。ミーティングでは飼育のコツ共有や実験⼿法のサポート、トランスジェニック動物の提供などが図られ、研究者コミュニティの相互協⼒が領域の拡⼤をもたらした。研究の裾野の広がりから研究者⼈⼝は増加の⼀途をたどり、2014 年に国際ゼブラフィッシュ学会(IZFS)という学会組織の設⽴に⾄った。IZFS は政治や地理の障害に屈せず、サイエンスの平等な機会を実現するという理念のもと、従来の国際⼤会を International Zebrafish Conference (IZFC) と改名し、⽶国だけで開催するのではなく、世界の各地で開催する⽅式に変更した。IZFC は世界中のゼブラフィッシュやメダカなどの⼩型⿂類を扱う研究者が⼀堂に会し、最先端の研究を発表するとともに、他の発表にもそれぞれの⽴場でコメントを⾏い、意⾒交換が⾏われる場として確⽴した。重要なことに、Cell、Science、Natureに論⽂を発表する世界のトップ研究者のみならず若⼿のPI や博⼠研究員、学⽣がフランクに意⾒を⾔える⽂化がある。また、各PI が研究室の博⼠研究員、学⽣に積極的にポスター発表をさせるため、若⼿の育成や⼈材交流が効果的に図られてきた。その内容は極めて学際的で、⽣化学から発⽣⽣物学、細胞⽣物学、分⼦⽣物学、疾患⽣物学など幅広いセッションが設定されており、IZFC に出席することにより、最先端の⼩型⿂類モデル研究を学ぶことができる。また、参加者全員が出席するコミュニティ・ミーティングでは、研究の共通ルール策定のみならず、⼤学前教育へのゼブラフィッシュの活⽤、研究廃棄物の削減など、研究者コミュニティの持続的発展が議論され、今後の⼩型⿂類研究の⽅向性を知ることができる。
 ゼブラフィッシュを⽤いた創薬研究は新薬開発の新たな扉を開けたとされるが、臨床試験を完了して認可まで⾄るには時間が必要で、IZFC開催の協賛として製薬会社の協⼒は得られていない。IZFC の開催はいつも財源的には厳しいが、そのような状況でも毎回500 ⼈を超える研究者が世界各地から参加するのは、IZFCが本領域の情報の中⼼に位置しており、IZFCに参加しなければ世界のフロントラインから取り残されてしまうと認知されているからである。このようにIZFCは、⾼い専⾨性と学際性を併せ持ち、かつ国際的な⼈材のネットワーク構築に⽋かせない会議であり、毎年新たな知⾒が報告される⼩型⿂類モデル研究領域の発展を⽬的として開催されている。2024 年に予定されている本会議は⽇本で開催される初めてのIZFCであり、⽇本の研究者の⼩型⿂類研究への貢献とリーダーシップを世界に⽰すことも⽬的としている。⽇本開催では⽶国開催や欧州開催ほどの現地参加者数にならないことが予想され、国内からの現地参加者200⼈、海外からの現地参加者200名、海外からのオンライン参加200⼈を⾒込んでいる。なお、海外からの現地参加者の内訳は、北⽶(⽶国・カナダ・メキシコなど)60⼈、南⽶(ブラジル・アルゼンチン・チリなど)5⼈、欧州(英国・ドイツ・フランス・オランダなど)60⼈、アフリカ(エジプト・南アフリカなど)5⼈、アジア(中国・韓国・台湾・インド・シンガポールなど)60⼈、オセアニア(オーストラリア・ニュージーランドなど)10⼈を⾒込んでおり、海外からのオンライン参加者の地域内訳も同程度の⽐率になる⾒込みである。

4)会場名、所在地、開催⽇時
⽇ 程:2024年8⽉17⽇(⼟)~21⽇(⽔)
スケジュール:https://drive.google.com/file/d/1KTFCpegH2nofkv9X9jjgjWJxKFYTVko0/view?usp=share_link
場 所:京都市勧業館みやこめっせ
形 式:ハイブリッド(現地開催 + ZOOM配信 + 時差を考慮してオンデマンド視聴)
⼤会⻑:Corinne Houart (Kings College London, UK) IZFS President
現地責任者:⽯⾕ 太(⼤阪⼤学)、平⽥ 普三(⻘⼭学院⼤学)、岡本 仁(理化学研究所)

5)主な招待者の名前・所属機関名・国名
1. Kate Whitlock (Universidad de Valparaiso, Chile) The differentiation of neurons, glia, and neuroendocrine cells.
2. Lila Solnica-Krezel (Washington University School of Medicine, USA) The genetic mechanisms underlying vertebrate gastrulation.
3. Kristen Kwan (University of Utah, USA) The mechanisms underlying tissue morphogenesis.
4. Steven Farber (Carnegie Institution for Science, USA) The cell and molecular biology of lipids within digestive organs.
5. Jeroen Bakkers (Hubrecht Institute, Netherlands) The genetics of cardiac development, disease and regeneration.
6. Ashley Bruce (University of Toronto, Canada) Fundamental cellular properties and mechanisms of morphogenesis and tissue patterning.
7. Suresh J. Jesuthasan (Lee Kong Chian School of Medicine, Singapore) Neural circuits modulating the intensity and cessation of fear responses.
8. Cecilia Moens (Fred Hutchinson Cancer Research Center, USA) The genetic basis of vertebrate brain development.
9. Wael MY Mohamed (Menoufia Medical School, Egypt) Neurodegenerative disorders and translational brain research.