会長だより

  • 会長便り第7号: 最後の会長便り

    • 11月21日の総会をもちまして、2年間の会長任期を終えることとなりました。この間、至らぬ私を助けていただきました一條秀憲・水野健作両副会長、常務理事、理事、代議員、会員、事務局のみなさまに深く感謝申し上げます。学会長というのはもっと年配の先生が務めるものだと思っていたため、心構えもないままに始まってしまいました。そして、あっという間に終わろうとしていますが、思い返せばいろいろなことがありました。最後の会長便りとして、この2年間の大きな出来事をまとめてご報告したいと思います。

       

      年大会開催

      2015年は第88回大会が遠藤斗志也会頭によって神戸で(BMB2015として日本分子生物学会と合同開催)、2016年は第89回大会が山本雅之会頭によって仙台で開催されました。両会頭をはじめとして運営にあたられた組織委員のみなさま、会場で活発な発表と討議を行っていただいた会員のみなさま、ご支援いただきました企業のみなさまに改めて感謝申し上げます。また、2016年の仙台大会には地震で被災された熊本地方からも、さまざまな困難にも関わらず多くの会員が参加されました。大会では幅広い分野での情報交換が可能ですので、みなさまの研究に新しい視点、方向性、共同研究者が加わったとすれば、それは学会が最も望むことだと思います。前回の大野茂男先生との対談でもご紹介しましたように、今年のConBio2017はさらに広い枠組みが試みられます。活発な議論が行われることを期待しています。

       

      会員増! 会費収入増!

      本学会の会計年度末にあたる2016年8月と2017年8月を比較すると、会員は1名増加(8085名)、会費収入は200万円増加となりました。会員数が1名増えたことなんてたいしたことないと思われるかもしれませんが、1990年代後半以降会員は漸減していますので、減らなかっただけでも嬉しいことなのです。実際に会費収入も大きく増えていますので「幽霊会員」が増えたわけではありません。早石修記念海外留学助成などの新事業が会員呼び込みに効果があったのかもしれません。生化学会には、その他にも支部活動、学会誌「生化学」や「Journal of Biochemistry」の出版、奨励賞などの各種表彰事業、FAOBMBなどの国際活動などがあります。是非、これらの生化学会の特徴を、みなさまの研究室に新しく入った学生、研究員にご紹介いただき、生化学会への入会を勧めていただけましたら大変嬉しく思います。

       

      早石修記念海外留学助成をスタート

      2017年度から、新規事業として「早石修記念海外留学助成」をスタートしました。これは、小野薬品工業株式会社からのご寄付によるもので、毎年8名に対して500万円、総額4,000万円の海外留学助成を行っています。すでに助成対象者を2回選出しました。深水昭吉委員長をはじめとする選考委員のみなさまには大変なお仕事となってしまいましたが、たくさんの応募がありましたことは嬉しい悲鳴です。応募は本会会員であることが条件となりますが、その他は可能な限りフレキシブルにしています。留学をステップにして、「早石修記念」の名にふさわしい将来のリーダーが本会から輩出されることを願っています。選考は激戦ではありますが、若手会員のみなさまには来年以降も是非積極的に挑戦していただきたいと思います。

       

      財政健全化

      本会は一時大きな赤字が続いた時期がありましたが、2012~2013年以降は大幅に改善し、わずかな赤字で推移しています。これは、和文誌「生化学」をオンライン化し、冊子体は希望者のみに有料(2000円)で配布することにしたこと、事務局の常勤事務員を減らしたこと、事務局の努力によって運営経費を削減したことなどによります。「生化学」は現在1000部のみ印刷しており、ほとんどの会員はオンラインで読んでいます。2016年度は、経常外収支も加えると黒字となりました! 学会資産を考えると現在の学会財政は比較的健全な状況にあると思われますが、さらなる経営努力が必要なことも事実かと思います。2016年6月には公益法人化以降はじめての内閣府立入検査を受けましたが、公益事業として問題なく運営されていることが確認されました。

       

      大会のあり方に関する検討

      大会は本学会の最も大きなイベントです。「学会=大会」と思われる若手会員の方も多いと思います。今期理事会では大会のあり方について討議しました。特に、日本分子生物学会との合同大会の開催については、より長期的な視点にたって、会員にとってもっとも良い形態を考えるべきとの意見でまとまりました。一つの国で、生化学と分子生物学に関する大きな大会を別々に開催しているということは、世界でも極めて例外的なケースです。学会運営、会員のメリット、企業からの支援など、考慮すべきことは多くありますが、学会を超えて真剣に考えるべき時期になっていると考えられます。本会では、理事会での協議を得て、2016年5月に日本分子生物学会へ「大会のあり方に関する合同検討会開催の依頼」を文書で送付いたしました。この分野の現在そして次世代の研究者の育成に、学会がすべきことを考え続けていくことが重要であると思います。

       

      会費年度を4月~3月に変更

      生化学会の会費年度はこれまで1月~12月でした。しかし、これは一般の会計年度(4月~3月)とも生化学会の会計年度(9月~8月)とも異なるため、学生会員から一般会員への移行や、会費請求のタイミングなどにおいて必ずしもスムーズではありませんでした。そこで、理事会で討議し、生化学会の会費年度を一般年度と同じ4月~3月としました。大学や研究費の年度と同じになりましたので、会費支払いなどでの混乱が少なくなったと思います。移行期は、従来会員の会費は1月から翌年3月までを1年分としましたので、実質的には3ヶ月分をサービスとさせていただきました(学会の同一会計年度内ですので、学会の会計には影響していません)。

       

      男女共同参画学協会連絡会シンポジウム開催

      2015年11月からの1年間、本会が男女共同参画学協会連絡会の幹事学会を務め、2016年10月8日にはシンポジウム「国際的に見て日本の研究者における女性割合はなぜ伸びないのか?」をお茶の水女子大学で開催いたしました。午前中には分科会、午後には全体会議が行われ、盛会となりました。本会の小川温子常務理事(兼男女共同参画推進委員会委員長)を中心とした委員のみなさまには、準備から当日の運営まで大変お世話になりました。

       

      大隅良典先生ノーベル賞受賞

      これは本会の賞ではありませんが、本会名誉会員の大隅良典先生が2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞されたことは、基礎研究を対象とする本会には大きな喜びとなりました。大隅先生おめでとうございました!

       

      日本生化学会プロモーションビデオ制作

      生化学会の宣伝になればと思い、会長になってすぐに作ったのですが、どうもぱっとしなかったようです・・・ 8,000人も会員がいるはずなのに、未だに1,000回ちょっとしか閲覧されていないというのはいったいどうしたことでしょうか。経費削減のために恥を忍んで自分が出演したのが良くなかったのかも知れません。もうじきこのビデオは消滅すると思いますので、最後のチャンスに是非ご覧ください。アドバイスがありましたら是非事務局までお願いします。次作があれば、生かされるかもしれません。

      https://www.youtube.com/watch?v=GUUCmXZgTi0&feature=youtu.be

       

      最後に

      このように、みなさまに支えていただきながらの2年間でした。就任時にも述べましたように、研究者が誇りと自信を持って元気よく研究できるようお手伝いさせていただくのが学会の大きな役割だと思います。そのために十分なことができたかは自信がありませんが、「少し若めの会長にして気軽に意見を言ってやろう」ということでは、少しは成功した部分があったかもしれません。それでも、本来は私がすべきところ、やり残してしまったこともたくさんあり反省しております。それらを含めまして、次期会長・執行部のみなさまには、本会をさらに発展させていただけるものと思います。最後になりましたが、全会員のみなさま、関連企業のみなさまには、今後とも本会運営に変わらぬご協力、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

       

                                     2017年11月

                                     日本生化学会会長

                                     水島 昇