若手研究者に聞く-奨励賞受賞者からのコメント-

2023年度受賞者

点と点をつなぐ東京医科歯科大学統合研究機構
加藤 一希

  •  若い研究者に贈る言葉ということで、キャリアの話をしようと思います。ご存知の方もいるように、タイトルの「点と点をつなぐ (Connecting the dots)」は、Apple創設者のスティーブ・ジ…

My two cents1 理化学研究所開拓研究本部
2 東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻
岩崎 信太郎 1,2

  •   この度は、日本生化学会奨励賞という栄誉ある賞をいただけたことをこの場をお借りして感謝申し上げます。メンターの先生の方々 (渡邊雄一郎先生、泊幸秀先生、Nicholas Ingolia先生)、研究室…

基盤を築き、他を学び、基盤を拡げ深める東京大学先端科学技術研究センター
服部 一輝

  •  きっかけは、2014年の米国派遣プログラムへの参加でした。米国のトランスレーショナルリサーチの実情を学ぶ過程で、異分野融合を促進するには、人材交流が必須だと感じました。ここでいう人材交流は、異なるバ…

違うから面白いんじゃない?順天堂大学大学院医学研究科
杉浦 歩

  •  この度「ミトコンドリアを中心としたオルガネラ間相互作用の解析」という研究課題で2023年度日本生化学会奨励賞を受賞させていただきました。その名の通りの研究を複数の研究室に渡って行ってまいりました。ご…

2022年度受賞者

難しいこともやろう東京大学大学院理学系研究科
志甫谷 渉

  •  この度は名誉ある日本生化学会奨励賞を頂き、大学院生の頃の恩師である藤吉好則先生や土井知子先生、現所属の上司である濡木理先生、また一緒に研究をおこなってくれた学生のみなさんに、この場を借りて感謝申し上…

報恩謝徳九州大学大学院農学研究院
松本 俊介

  •  この度は日本生化学会奨励賞という大変栄誉ある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。選考委員の先生方には感謝申し上げます。  私が今までの研究者人生で学んだことは、研究においては単独での…

貫け独自の研究スタイル京都大学大学院医学研究科
佐々木 克博

  •  これまで歩んできた研究人生を振り返ると、私は大部分の研究者のように1つの生命現象の原理原則をとことん追求するタイプではなく、異分野を取り入れながら生命科学における新たなコンセプトの提唱を目指すタイプ…

研究とライフイベントの間理化学研究所生命医科学研究センター
今見 考志

  •  現在まで基礎研究者を継続でき、このような伝統ある賞を受賞できたことを振り返ると、とても自分ではコントロールできない運や環境といった複雑な要素が入り混じった結果、ここまで来れたとひしひしと感じます。素…

2021年度受賞者

好きこそ物の上手なれ公益財団法人がん研究会がん研究所
立和名 博昭

  •  この度は日本生化学会奨励賞を受賞することができ、大変嬉しく思っております。今回は大学院生の時から行ってきたヒストンバリアントの研究に対して評価をいただけました。私なりに受賞できた理由を考えると、研究…

好奇心こそ研究の原動力順天堂大学大学院医学研究科
森下 英晃

  •  私はもともと生命現象の仕組みに興味があり、医学部の学生の頃から九州大学生体防御医学研究所で色々と学ぶ機会をいただいていました。医学部3年生のときに先生方に勧めていただき参加したのが「免疫サマースクー…

出会う事と、継続する事鳥取大学工学部
佐藤 裕介

  •  本受賞テーマの「ユビキチンシグナルの構造生物学」は、私が博士課程の時に深井周也教授(現・京都大学)のご指導のもと、駒田雅之教授(東京工業大学)との共同研究でスタートしたものです。翻訳後修飾因子として…

縁を大切に東京薬科大学生命科学部
長島 駿

  •  この度は、名誉ある日本生化学会奨励賞を受賞できたことを大変嬉しく、光栄に思っております。このような名誉ある賞を頂けたのは、大学の学部生時代から指導していただいた柳茂教授をはじめ多くの先生方のご指導、…

したたかに、しなやかに聖マリアンナ医科大学
仁平 直江

  •  この度は歴史ある日本生化学会奨励賞を賜り、選考委員の先生方、ならびにこれまで御指導くださった先生方や研究室メンバーに厚く御礼申し上げます。  私が研究を開始したのは遡ること18年前の大学4年次…

2020年度受賞者

生化学者としてのアイデンティティとは?国立国際医療研究センター
柳田 圭介

  • この度は日本生化学奨励賞という栄えある賞を賜り関係各位ならびにこれまでご指導くださった諸先生方に厚く御礼申し上げます。 さて後輩へのメッセージということで、まず先輩方のご寄稿を拝見させていただき…

継続は力なり大阪大学大学院医学系研究科
松本 真司

  •  この度は名誉ある日本生化学会奨励賞を頂き、大学院生の頃からの指導教員であり現所属の上司でもある菊池 章先生をはじめ、これまでご指導頂いた諸先生方、また一緒に研究をおこなってくれた学生のみなさんに、こ…

天命を信じて人事を尽くす京都大学大学院理学研究科
蜷川 暁

  •  自分の研究者としてのアイデンティティー、メンタルを形成しているのは「ノーベル賞とるぞー」と言っていたらしい奇抜な父と、私の研究生活を終始ご指導していただいている森先生が大きく、それらの点を含めて書か…

「自分の世界を」東邦大学医学部
森脇 健太

  •  この度は日本生化学会奨励賞という栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思っております。これもひとえにこれまでご指導をいただいた先生方・先輩方、一緒に実験をしてくれた後輩たち、また多大なるサポートをいただき…

オリジナリティある研究を目指して大阪大学蛋白質研究所
茶屋 太郎

  •  この度、伝統ある日本生化学会奨励賞を受賞させて頂き非常に光栄であるとともに身の引き締まる思いです。何かアドバイスできるようなことはありませんので、その代わりにこれまでの研究生活の中で感じたことを書い…

2019年度受賞者

まずやってみよう東京大学定量生命科学研究所
鯨井 智也

  • この度は、生化学会奨励賞という伝統と名誉ある賞をいただき、大変光栄に思っております。これまで私を指導してくださった胡桃坂仁志先生をはじめ、常日頃からお世話になっております先生方に感謝申し上げます。 …

推し研究者を見つけよう!京都産業大学生命科学部
潮田 亮

  • この度は、「レドックス制御に基づく小胞体恒常性維持機構の解明」というテーマで、名誉ある日本生化学会奨励賞を受賞させて頂きました。今回、受賞者から、若手研究者、特に大学院生に向けてということで、まだまだ…

これから研究しようとする方々へ九州大学大学院理学研究院
柴田 俊生

  • 私が研究に携わるようになり10数年。その間、ゲノム情報の整備とともに、その改変技術も革新的に進歩し、生物学がもっと手軽で身近なものになってきました。一方で、科学の発展に不可欠な知的好奇心を持つことが今…

取りあえず挑戦してみたらどうでしょう?名古屋大学大学院理学研究科
寺島 浩行

  • この度は日本生化学会奨励賞という歴史ある名誉な賞を頂き、これまでご指導いただいた本間道夫先生、今田勝巳先生、ならびに共同研究者の方々に厚く御礼申し上げます。さて、院生向けに「研究の経緯や成功のコツ」を…

世界で初めて、を目指して東京大学大学院薬学系研究科
岸 雄介

  • この度は日本生化学会奨励賞という栄誉ある賞をいただき大変光栄です。とはいえ、自分が「生化学者」なのかと言われますと、歴代の受賞者の名前を眺めていて、うーん…と悩んでしまいます。科研費に応募するときの区…

2018年度受賞者

Keep paddling大阪大学免疫学フロンティア研究センター
瀬川 勝盛

  • この度は歴史ある日本生化学会奨励賞を頂き、長田重一先生をはじめ、これまでご指導頂いた諸先生方に心より御礼申しあげます。若い学生さんに向けてということでしたので、研究生活で大切にしてきたポイントをご紹介…

がん研究のない未来東京薬科大学・生命科学部
佐藤 礼子

  • この度、日本生化学会奨励賞を頂き光栄に存じます。「がん細胞における薬剤耐性制御機構に関わるタンパク質の解析」という研究テーマに関し奨励賞をいただきましたが、私はこれまで一貫してがん研究を行ってきた訳で…

神のみぞ知る真実を理解するためには出会いを大切に東京大学大学院理学系研究科
吉種 光

  • 研究のブレイクスルーには異分野の融合、いや人と人との出会いが重要だと考えています。一人の研究者が特定の領域のスペシャリストになり、その領域をさらに押し広げようと思った時に、自分達の手で取得したデータを…

自分なりの研究の色名古屋市立大学大学院薬学研究科
矢木 宏和

  • このたび、日本生化学会奨励賞を頂きました。本賞をいただくにあたり、学生の頃からの指導教員であり現所属の上司でもある加藤晃一教授、一緒に研究をおこなってくれた学生、また有益なご助言をいただきました共同研…

知りたいという駆動力公益財団法人東京都医学総合研究所
山野 晃史

  • 大学生の私は、生物学に関して全くの無知であった。化学は新しい材料を作り出して社会を豊かにできるし、物理学は普遍的原理を追求する崇高な学問だが、生物学は受験のための暗記科目としか印象がない。それを学んで…

2017年度受賞者

初心を忘れずに秋田大学大学院医学系研究科
齋藤 康太

  • とても皆さんに参考になることを書ける気がしないので、日々の研究でつまずいた時に思い出すことにしている私の体験について書かせていただこうと思う。 大学一年生の春、はじめて本格的な「生物学」の講義に出…

確信する瞬間を楽しむ岐阜大学生命の鎖統合研究センター
木塚 康彦

  •  一年に2,3回、実験結果を見ているとき、予期せず自分の中で強く確信できる瞬間が訪れることがあります。  「あ、そうか。こういうことだったんだ」「あ、もしかして、これってそういうことか」。目の前の…

木も見て森も見る千葉大学大学院理学研究院
板倉 英祐

  •  高校生の私は研究者という職業に、「学問の真理を明らかにすべく、風貌やコネではなく実力だけで生きていく自由業な感じ」という勝手なイメージを抱きつつ(このイメージが誤りであることは後に知りました)、大学…

スタートライン京都大学大学院薬学研究科
加藤 洋平

  • 研究者としてのスタートラインはどの時点を指すのでしょうか?研究室に入ったとき、博士号を取ったとき、それとも独立して研究室を立ち上げたときでしょうか?いろいろな考え方があると思いますが、私は、研究者のス…

SNAREと仲間に支えられた研究人生東京薬科大学生命科学部
新崎 恒平

  •  この度、日本生化学会奨励賞を頂けましたことを心より光栄に存じます。 私の研究生活は、東京薬科大学・分子細胞生物学研究室に所属したところから始まります。本研究室の教授である多賀谷光男先生はJame…

2016年度受賞者

未知なる島を目指して神戸大学バイオシグナル総合研究センター
辻田 和也

  •  将来は船乗りになって、世界の海を航海したい。海の目の前で生まれ育った私は、広大な海に漠然と憧れていました。しかし、そんな冒険のような職業は現代にはないことに気付き、失望したように思います。小学校低学…

幸運に恵まれるためには東京薬科大学生命科学部
中村 由和

  • この度、日本生化学会奨励賞という大変栄誉ある賞をいただけたのは、良き師に恵まれたことをはじめとして、とにかく幸運であったためであると思っています。そのため、偉そうなことを書ける立場にはありませんので、…

人から信頼される研究者に東北大学大学院 医学系研究科
鈴木 未来子

  • 奨励賞を頂いた研究は、私にとって、まさに奇跡の連続でした。今回はその奇跡的な出来事についてお話したいと思います。白血病でみられる3番染色体転座において、GATA2遺伝子のエンハンサーが、原がん遺伝子E…

あなたの知らない世界東京大学薬学系研究科
名黒 功

  •  大学院生の時、パッチクランプ法を使って心筋のL型Ca2+チャネルについて研究していた私は、「いま測定しているCa2+が細胞に入った後、細胞内で何が起こるのだろう?」とふと思いました。もちろん、心筋な…

詰将棋的研究と数手先しか読めない研究国立遺伝学研究所
北川 大樹

  •  将棋の名人戦などでよくみる長考の際に、トップレベルの棋士はどの程度先の手を読んでいるのでしょうか?その局面にもよりますが、意外にも十手先を読むのもなかなか大変ということを聞いたことがあります。大局的…

2015年度受賞者

変わらない勇気と変わる勇気東京農工大学大学院工学研究院
浅野 竜太郎

  • このような大変栄誉ある賞を頂きましたこと、まずこの場を借りて、ご指導頂きました先生方、また献身的に実験を行って頂いた補佐員ならびに学生の皆様に心より御礼申し上げます。流動的なアカデミックに於いて、卒業…

自分の結果を大切に東京大学大学院薬学系研究科
大戸 梅治

  • このたびは、自然免疫系Toll様受容体の構造生物学的研究に関して日本生化学会奨励賞を授与いただきまして大変ありがたく存じます。私がこの研究を始めたのは修士1年のときですので、もう10年以上にわたって続…

継続は力なり久留米大学医学部
杉島 正一

  •  この度は「ヘム代謝関連酵素の構造生物学的研究」という研究課題に対して、日本生化学会奨励賞という歴史ある賞を頂き、関係の諸先生方に熱く御礼申し上げます。今後、この賞に恥じないように研究に邁進していく所…

世界を旅する論文を追いかけて東北大学大学院医学系研究科
田口 恵子

  •  昨年は大学卒業後15年の節目でしたが、どうした巡り合わせか、何人かの大学同期生に会う機会に恵まれました。アメリカでPIになった人、研究とは違う領域で留学した人、たまたま仕事で大学を訪問してきた人、な…

未来に貢献する科学者を目指して九州大学大学院理学研究院
松島 綾美

  •  『「ちょっと古くなった肝臓を交換してくる。明日から、また、お酒を心置きなく楽しめるよ。」そういって、同僚は実験室を後にした。私は不器用で、要領も悪いので、昔から何をするにも人一倍時間がかかる。颯爽と…

2014年度受賞者

何を研究するのか京都大学 医学研究科 医化学教室
鈴木 淳

  • 大学院生に向けてということで、今回の生化学会奨励賞受賞テーマである細胞膜リン脂質のスクランブル機構になぜ取り組んだのかを書きたいと思います。大学院を卒業して幸運にも長田重一先生の下でポスドクとしてトレ…

学問の王道東京大学医学部/マサチューセッツ工科大学コーク癌総合研究所
鈴木 洋

  •  この度は、マイクロRNA (microRNA)の生合成と遺伝子発現調節機構に関する研究について、日本生化学会奨励賞という大変名誉ある賞を頂戴し、諸先生方ならびに学会関係者各位に厚く御礼申し上げます。…

「体のなかのスイッチ」に魅せられて京都大学大学院生命科学研究科
生沼 泉

  •  高校生の頃から発がんのメカニズムに興味があり、中でも「Rasという小さなスイッチ役たんぱく質の1カ所の変異でも細胞をがん化してしまう」ということに衝撃を受けました。この衝撃が今でも研究のモチベーショ…

勉強もしないと東京都医学総合研究所
佐伯 泰

  • まだまだ現役で手を動かしているものとして、若い方への文章を書くというのは中々難しいのですが、1つ後悔していることを書いてみます。この数年、遺伝学や質量分析計を用いたスクリーニングをたくさんしています。…

Chance favors only the prepared mind東京大学
西増弘志

  • この度は「立体構造から迫る酵素の作動機構」の研究に関し、日本生化学会奨励賞をいただき大変光栄に感じております。私は北海道の田舎に生まれ、研究とは縁のない環境で育ったのですが、幼少の頃からなぜか、生物と…

2013年度受賞者

酵素の声に耳を傾けなさい名古屋大学 細胞生理学研究センター
阿部一啓

  • 私が胃プロトンポンプの研究をする契機となったのは、北海道大学在学時、恩師である谷口和弥先生と出会いでした。谷口先生はナトリウムポンプが専門で、イオン能動輸送の重要性とダイナミックな構造変化の熱心なお話…

四十にして惑わず奈良先端科学技術大学院大学
末次 志郎

  • この度は、名誉ある日本生化学会奨励賞を頂き身に余る光栄でうれしさをかみしめています。 大学入学当時、何となく研究者、あるいは、学問を志していた私は、細胞の形態形成を学ぼうと、当時東大医科研にあった竹縄…

感性を刺激するもの東京工業大学 フロンティア研究機構
中戸川 仁

  •  大学院生に向けて、とのことでしたので、在り来たりな話題にはなりますが、研究テーマを決める際の一助になればと、私の経験を書かせていただくことに致します。  私は学部生の時、ワトソンの「遺伝子の分子生…

ニッチを知り、ニッチをつくる。慶應義塾大学医学部 / 国立国際医療研究センター研究所
田久保圭誉

  •  医学部医学科の学部教育カリキュラムにはそれほどきっちりとした研究に携わる教育プログラムは組み込まれていないため、研究に興味を持っている学生は自然とカリキュラム外で研究室に出入りするという行動に出…

生化学研究の道を歩んで~心に残る出会いと言葉神戸大学大学院 医学研究科
金川 基

  • 「生化学って面白い」と思ったのは、学部での生化学実習の時です。生体試料からタンパクを精製し、その酵素学的な特徴をひとつひとつ調べあげる実験が、ゲル上でCBBに染まっているにすぎなかったタンパクに生命的…

2012年度受賞者

偉くなる前の時間を大切に公益財団法人微生物化学研究会 微生物化学研究所
野田 展生

  •  私は学生時代の6年間、東大薬学部の佐藤能雅先生の研究室で蛋白質結晶学の基礎を学びました。この期間が私の研究者としての基礎であり、とても貴重な時間であったと確信していますが、当時は強い危機感も抱いてい…

糖鎖・脂質・タンパク質研究の魅力大阪大学 微生物病研究所
藤田 盛久

  •  この度は、私のようなものに栄えある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。これまで御指導くださいました地神芳文先生(産業技術総合研究所)、木下タロウ先生(大阪大学)をはじめ、多くの皆様に深く感…

雑多でも良いじゃないか理化学研究所 脳科学総合研究センター
斉藤 貴志

  •  「分子生物学から先に入った奴は、蛋白質の扱い方が雑だ。でも蛋白質(生化学)から入った奴は、分子生物学の実験も丁寧にやれる。」そう先輩に言われたのが、大学院博士課程の時でした。今にして思うと乗せられた…

観たいものを観る努力と才能国立遺伝学研究所 構造遺伝学研究センター
伊原 伸治

  • 蛋白質を精製してその特性を決める、明快な研究手法と蛋白精製の困難さに魅せられ、大阪大学の谷口直之先生の生化学教室の門を叩きました。なんとか学位をいただけるだけの仕事をして、さてポスドク先を選ぶに…

生命現象の分子基盤解析九州大学大学院理学研究院 生物科学部門
小柴 琢己

  • 私が学位を取得してから早12年が過ぎようとしています。大学院生当時、私は北海道大学・新田勝利教授のもとで、球状タンパク質のフォールディングに関する熱力学的な解析(生物物理学)を行っておりました。…

2011年度受賞者

これまでの研究を振り返って京都大学大学院生命科学研究科 加藤 裕教 (平成24年度掲載)

  • 私は現在、細胞の形態や運動性を制御する分子メカニズムについて、Rhoファミリーの低分子量G蛋白質を介したシグナル伝達を中心に研究を行っています。私が“研究”ということに携わるようになったのは大学の学部…

「硫酸、硝酸、核酸」という順番名古屋大学大学院医学系研究科 内村 健治 (平成24年度掲載)

  • 栃木県のとある古書店で一冊の本をやっと見つけた。僕が産まれた年に刊行された「生化学の諸切片」という教科書である*。実はこの副題に僕は心がひかれた。副題は 「硫酸、硝酸、核酸」である。 私は学生のころか…

研究を楽しむということ国立遺伝学研究所
平田 普三

  •  子供の頃から、動物に興味があり、主に昆虫を捕まえては動き回る様子や食ったり食われたりする様子をずっと眺めていました。今思い返すとひどいことをしていたものですが、これが現在の研究興味の根源だったとも思…

「不思議だな、何故だろう?」と思ったら大阪大学大学院理学研究科
野尻 正樹

  •  この度は、異化的硝酸還元系(嫌気呼吸系の一種)の蛋白質電子伝達反応に関わる一連の研究成果におきまして、日本生化学会奨励賞という大変名誉ある賞を頂戴し、学会関係者各位ならびに諸先生方に厚く御礼申し上げ…

2010年度受賞者

自分が本当に面白いと思う研究をする立命館大学生命科学部
三原久明

  •  私は、京都府立大学農学部農芸化学科の鈴木讓先生の研究室において、当時助手であった渡部邦彦先生の指導の下、プロリン残基導入による酵素の耐熱化に関する研究に携わりました。今にしてみれば、この時期に、生化…

「見えぬけれどもあるんだよ。見えぬものでもあるんだよ。」京都大学ウイルス研究所
豊島文子

  •  金子みすゞさんの「星とたんぽぽ」と題する詩にある上記の文句は、私の座右の銘です。今回の生化学会奨励賞を頂くことになった「細胞分裂軸」の研究は、まさにこの言葉を発端としています。私がこの研究を始めたの…

古くて新しい風変わりな糖鎖の研究名古屋大学大学院医学系研究科
岡島徹也

  •  この度は、糖転移酵素の機能に関する一連の研究成果に関しまして、日本生化学会奨励賞を授与頂きまして、日本生化学会の関係各位に厚く御礼申し上げます。私が10年来従事しております糖鎖研究は、これまで生化学…

路傍の花大阪大学大学院理学研究科
石水 毅

  •  生命の基本現象の神秘を化学で見てみたい、という漠然とした思いを抱き、学部4年生の時に、阪大蛋白研の崎山文夫先生の研究室に入室しました。データに高い質を求められる厳しい研究室でした。修士2年に上がる頃…

2009年度受賞者

All We Need is “Biochemistry”岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生体機能化学分野
田中智之

  •  深く考えずに行った選択が良い結果を招くことは幸運以外の何ものでもありませんが、京都大学薬学部で市川厚先生の主宰する衛生化学研究室(現在の薬学研究科生体情報制御学分野)に参加したことは、まさにそう…

折れない心~無駄な実験だと決めつけない~東京大学大学院医学系研究科細胞情報
進藤英雄

  •  この度は平成21年度の生化学会奨励賞に御採択頂きありがとうとうございます。大変光栄であり、今後この賞に恥じぬよう研究を進めて参りたいと思います。  私は東京大学大学院医学系研究科細胞情報学教室で清…

「花形」研究より「奥の深い」研究を神戸大学大学院医学研究科
伊藤俊樹

  •  私が理学部4年生だった1990年代の前半、生命科学の分野ではいわゆる「細胞内情報伝達」の研究が隆盛期を迎え、実験医学の特集号に毎月のように取り上げられるほどの「花形」研究分野となっていました。大学院…

新しい研究を切り開きたい東京医科歯科大学
石原直忠

  •  私が九大三原研で大学院生としてミトコンドリアの研究を始めてから15年以上になる。博士研究としてミトコンドリアの生化学研究手法を学んだ後に、岡崎の基礎生物学研究所の大隅良典先生の研究室にポスドクとして…

独自の芸風を磨く東京大学大学院総合文化研究科
佐藤 健

  •  大学院生の頃から生体膜に興味を持っていました。生体膜の機能はもちろん興味深いのですが、その機能を調べるために生体膜から部品を取り出し、組み立て直して、生体膜機能の一部を人工膜上に再現する「プロ…

2008年度受賞者

私の研究~時には感動を立教大学理学部生命理学科
山田 康之

  • 私は1993年4月、学部4年の卒業研究の時に東工大資源研の吉田賢右先生の研究室に配属になり、大学院生、学振PDとして計10年間、吉田研究室で研究を続けた。PD終了後、当時東大生産研にいた、研究室の先輩…

「有髄神経をつくる」という研究に携わって国立成育医療センター研究所 薬剤治療研究部
東京工業大学大学院 生命理工学研究科
山内 淳司

  • タイトルを読むとなんだか難しい研究のように思われます。私もちょうど5年前までそう感じていました。私は、大学院では生化学・分子生物学を専攻し、それをベースにして博士研究員のときに分子薬理学的な研究をして…

なんだかわからないものこそ面白い 群馬大学 生体調節研究所
佐藤健

  • 「答えのわかっている問題しか解いたことがないので、どうなるかわからないものを研究するのは不安です」 これは研究室見学に来た一人の学生が発した言葉であった。私は「わからないことを明らかにしていく」ことこ…

日本生化学会奨励賞を受賞して―これまでの研究生活を振り返って思うこと―神戸大学大学院医学研究科
生理学・細胞生物学講座 膜動態学分野
匂坂 敏朗

  •  この度は日本生化学会奨励賞を授与頂きまして身に余る光栄であるとともに大変身の引き締まる思いです。選考委員の先生方をはじめ、日本生化学会の関係各位に厚く御礼申し上げます。今回の受賞対象は、高井義美先生…

DNA分解の研究に魅せられて京都大学大学院医学研究科 分子生物学教室
川根 公樹

  • DNAが積極的に分解される。不思議な話に思えませんか?DNAは遺伝情報の原本で、半保存的複製によって合成されるため、RNAやタンパク質とは異なり、細胞内で代謝、分解されることはありません。しかし、細胞…