会長あいさつ

 

 

会長 山本 雅之

(東北大学大学院医学系研究科)

 

 

 

 

日本生化学会会員の皆様が生化学研究・教育の発展に、日頃多大な努力を傾注されていることに深甚の敬意を表します。私は2017年11月より日本生化学会の会長を拝命いたしました。本会の歴代会長や役員には、創設者である柿内三郎先生はじめとして、世界の生化学研究に顕著な功績を残された多くの方々がきら星のように名を連ねています。この名誉ある職に就任するにあたり身が引き締まる思いです。

 

さて、本会は1925年(大正14年)に創立され、今年で93年目を迎える伝統ある学会です。我が国の生命科学・医学研究の発展を支えてきた主要学会の1つでもあり、多くの国際的な成果を挙げると共に、有望な(若手)研究者も輩出してきました。昨今の学会細分化や研究者人口減少傾向の中でも、8,000人以上の会員を有し、我が国における生化学の普及と発展に大きな貢献をしている素晴らしい学会であると自負しています。

 

発足当時から「本会活動は支部主体である」という方針を堅持しており、公益社団法人化した現在でも、北海道、東北、関東、中部、北陸、近畿、中国四国、九州の8支部が、各支部長のリーダーシップの元に独立した活動を行っています。各支部はそれぞれの特徴を活かしながら、年度前半に支部例会やシンポジウムを開催しています。支部例会は若い研究者の研究発表の場として、また、幅広い研究分野に触れる場として重要な役割を担っています。学会の代表社員である代議員は各支部から選出されています。各支部は学会本部に対して問題提起をしたり、互いに情報発信をしたりしながら、本会の運営母体としての役割を果たしています。さらに、支部間の交流は新たな見識を広げる機会にもなっています。

 

ところで、日本生化学会の活動の中には、会員の皆様に十分に知られていないこともあると思いますので、この場を借りてお伝えします。例えば、本会は日本医学会の基礎系分科会に所属しており、同医学会の幹事学会を務めています。また、日本を代表する学会として、国際的な生化学・分子生物学系学術団体であるFAOBMBやIUBMBに参加しており、関連する国際会議を主催したり、国際交流を支援したりしています。もちろん、日本生化学会が発行する和文雑誌「生化学」および英文誌「Journal of Biochemistry(JB)」は、国内外の生化学者の研究発表の場として高く評価されています。

 

2017年度には、本会の会長を務められ、我が国の生化学研究の発展に多大な貢献をなされた早石 修本会名誉会員を記念して、小野薬品工業株式会社様からのご寄付によって「早石 修記念海外留学助成」事業を設立いたしました。本事業には多くの優秀な応募者を募ることができており、毎年8名の本会会員である若手研究者に留学助成として各500万円を助成しています。今後の大会では、この研究助成採択者が留学で得た貴重な成果・体験談などをフォーラムなどを通して会員の皆様にお伝えできるものと期待しています。また、本会は従来から、柿内三郎記念賞と特別奨励賞(公益財団法人倶進会様からのご支援)、日本生化学会奨励賞、JB論文賞、大会・支部例会での優秀賞や発表賞、バイオフロンティアシンポジウム助成など、多くの会員を顕彰・支援する制度を創出・運営しています。

 

日本生化学会では、会員の皆様のご意見を伺いながら、研究者に起きているさまざま問題点を改善する取り組みも行っています。ライフワークバランス、大学院博士課程学生のキャリアパス、ポスドク問題、論文不正、そして、大会のありかたなど重要な課題を、今後も検討していかなければならないと考えています。改善できることにはすぐに取り組む柔軟さと、スピード感をもって問題解決に努めていきたいと思います。

 

最後になりますが、学術の進歩はいつも加速的です。例えば、ゲノム研究の進歩は、ゲノム変異と疾患との関連性を解き明かす中間形質としての代謝物やタンパク質・脂質・糖質研究の重要性に気付かせてくれました。また、ヒトを対象とする研究の重要性も広く認識されています。まさに、本会会員の皆様が日頃取り組んでいる研究課題は、現代生命科学・医学の重要課題として再浮上・発展しているのです。皆様と一緒に、本会の活動を通して、我が国の「知的存在感のある科学立国」としての発展を実現するべく、努力していきたいと存じます。日本生化学会へのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。