公益財団法人 島津科学技術振興財団

公益財団法人 島津科学技術振興財団 平成27年度研究開発助成

応募締切:2015年9月30日(水)必着

 

詳細は島津科学技術振興財団のWEBサイトをご覧ください。

http://www.shimadzu.co.jp/ssf/h27bosyu.html

平成27年度小野医学研究助成及び研究奨励助成

平成27年度小野医学研究助成及び研究奨励助成のお知らせ

応募受付:平成27年6月1日(月)から7月31日(金)

詳細は小野医学研究財団のWEBサイトにてご確認ください。

https://www.ono.co.jp/jp/zaidan/

 

第24回木原記念財団学術賞

第24回木原記念財団学術賞 のお知らせ

 

学会推薦締切:2015年8月28日(金)

財団締切:2015年9月30日(水)当日消印有効

詳細は木原記念財団のWEBサイトをご覧ください。

http://kihara.or.jp/

ハンディキャップのある会員への支援

生化学会ではハンディキャップをもつ会員の大会参加の支援を始めました。

最初の取り組みは、事務局に「相談窓口」を設けました。どうぞお気軽にご連絡ください。

真摯に対応させていただきます。

日本生化学会 事務局 「相談窓口」担当: 渡辺

Tel: 03(3815)1913 / Fax: 03(3815)1934

e-mail: watanabe@jbsoc.or.jp

(公財)医療科学研究所 2015年度(第25回)研究助成募集

(公財)医療科学研究所 2015年度(第25回)研究助成募集のご案内

応募締切:2015年6月30日(火)当日消印有効

詳細は、医療科学研究所のWEBサイトを参照下さい。

http://www.iken.org/assist/about.html

 

 

第147回日本医学会シンポジウム

第147回日本医学会シンポジウム「わが国の高齢者医療をめぐる諸問題」

 

日時:平成27年6月4日(木)13:00から17:00

会場:日本医師会館大講堂(東京都文京区本駒込)

詳細は医学会のWEBサイトをご覧ください。

http://jams.med.or.jp/symposium/index.html

 

第42回(平成27年度)岩谷直治記念賞

第42回(平成27年度)岩谷直治記念賞

 

学会推薦締切:平成27年7月31日(金)必着

財団締切:平成27年8月31日(月)消印有効

詳細は公益財団法人岩谷直治記念財団のWEBサイトをご覧ください。

http://www.iwatani-foundation.or.jp/

山田養蜂場 みつばち研究助成基金

山田養蜂場 みつばち研究助成基金 2015年度研究助成

 

申込受付期間:2015年5月18日(月)から6月30日(火)17時締切

詳細は山田養蜂場みつばち研究助成基金のWEBサイトをご覧ください。

http://www.bee-lab.jp/grant/

第5回三島海雲学術賞

第5回三島海雲学術賞のお知らせ

 

学会推薦締切:2015年8月28日(金)必着

財団への応募期間:2015年8月1日から9月30日(当日の消印有効)

詳細は公益財団法人三島海雲記念財団のWEBサイトをご覧ください。

http://www.mishima-kaiun.or.jp/virtue/

キヤノン財団第7回(2015年)研究助成

キヤノン財団第7回(2015年)研究助成

 

●「産業基盤の創生」2015年6月30日15時

●「理想の追求」2015年7月15日15時

 

詳細はキャノン財団のWEBサイトをご覧ください。

https://www.canon-foundation.jp/aid/information.html

ポスドク問題検討委員会<生科連からの重要なお願い>(第二版)

ポスドク問題検討委員会<生科連からの重要なお願い>(第二版)

 

日本生化学会 会員各位

ポスドク問題検討委員会報告書改訂版(第二版)が 生科連WEBサイトにアップされました。

 

https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2015/05/seikaren_postdoc_2.pdf

※第二版(PDF640KB)

JBSバイオフロンティアシンポジウム企画公募

第14回(平成28年度)日本生化学会

JBSバイオフロンティアシンポジウム企画公募のお知らせ

 

平成27年5月

公益社団法人 日本生化学会

 

 日本生化学会では、昨年に引き続き「JBSバイオフロンティアシンポジウム」の企画を会員から募集いたします.

 このシンポジウムに対しては、JCRファーマ株式会社様より200万円の援助が既に約束されています. シンポジウムの要件としては、国際シンポジウムであること、わが国からの情報発信に重点をおいていること、学術上の価値が高いこと、若い研究者もオーガナイザーとして積極的な応募が期待されていることなどです.

 会員の皆さまのご応募をお待ちします.

 

【募集要項】

 

1.  必要事項

1) シンポジウムタイトル
2) オーガナイザーの氏名・所属・連絡先(フリーメールアドレス不可)
3) シンポジウムの趣旨(800~1200字前後). 科学上の重要性あるいは国際的にタイムリーな企画であること.
4) 予定会場名と所在地、開催時期
5) 主な招待者の名前・所属機関名
6) 予算案. ただし海外招待者の航空運賃はディスカウント料金を基準とする. 目安はアメリカ西海岸20万円、アメリカ東海岸・ヨーロッパ30万円です. なお、必要に応じて他の財源も確保してください.

 

2.  対象となる開催期間

平成27年12月1日~平成28年11月30日の間に開催されるものであること.

 

3. 応募先

公益社団法人 日本生化学会 JBSバイオフロンティア係

Eメール:watanabe@jbsoc.or.jp

 

4. 応募締め切り

平成27年7月31日(金)

 

5. 審査

本会理事会にて審議の上、決定します.

平成27年度各賞の募集は終了しました。

会員各位

 

柿内三郎記念賞、柿内三郎奨励研究賞、奨励賞、JB論文賞に、今年もたくさんの応募を頂くことが出来ました。

ありがとうございました。

尚、昨年の奨励賞受賞者著者がウェブサイト「若手研究者に聞く」に掲載されました。

こちらも是非お読みいただければ幸いです。

 

「生化学」誌Vol.87 No2 電子版発刊のご案内

 日本生化学会 会員のみなさま

                                  「生化学」誌企画委員長

                                    横溝 岳彦

「生化学」誌第87巻2号電子版が発刊されましたのでご案内申し上げます。

 87巻1号からスマホ・タブレットでもお読みいただけるようになり、また、記事ごとの印刷・PCへの保存も

可能となりました。

 

記事・論文は下記、目次のタイトルをクリックしていただくか、下記、リンクからお入りください。

生化学誌電子版 トップページ https://seikagaku.jbsoc.or.jp/index.html

 論文・みにれびゅう・テクニカルノートをお読みいただくには会員番号とパスワードが必要です。

※ユーザ名には七桁の会員番号をご入力ください。

※「会員ページ」と同じパスワードと会員番号です。

そのほかの記事は全文どなたでもお読みいただけます。

 

会員パスワードに関するお問い合わせは生化学会事務局 E-mail:jbs-ho@jbsoc.or.jp までお願いいたします。

 

アトモスフィア

生化学会一筋50年をふり返って
井柳 堯
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870159
総説

ゲノム・エピゲノム情報の安定維持機構
中西 真
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870165
各臓器におけるFOXO1の代謝作用
北村忠弘,北村ゆかり
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870176
肥満と肝がん:腸内細菌と細胞老化の関与について
原 英二
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870183
閉鎖循環系内部を抗血栓,抗炎症に保つ分子:トロンボモジュリンの構造と機能
丸山征郎
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870188
タンパク質フォールディングの「理想」と「現実」:凝集形成とシャペロンの役割
田口英樹
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870194
みにれびゅう

発達障害の背景としての大脳皮質構築異常
浜田奈々子,稲熊 裕,永田浩一
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870205
シアノバクテリアにおける糖脂質合成系と酸素発生型光合成の進化
佐藤直樹
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870209
DNAミスマッチ修復系におけるDNA切断活性の制御機構
福井健二
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870212
生理活性物質「硫化水素」の新規産生経路
渋谷典広
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870218
神経活動依存的に発現する遺伝子Hr38を利用した昆虫の生得的行動時の神経活動の検出
木矢剛智
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870221
組織透明化試薬を用いた3D蛍光イメージングのすすめ
今井 猛
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870225
長鎖非コードRNA, ANRIL, PANDAによる細胞増殖,アポトーシス制御機構
神武洋二郎,苗村円佳,紫 千大
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870230
近赤外光を吸収するバクテリオクロロフィル色素の生合成経路解明と応用
塚谷祐介,民秋 均
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870234
老化関連疾患におけるNAD+合成系の役割と創薬標的としての可能性
山口慎太郎,吉野 純
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870239
発生期および成体脳における神経幹細胞の制御メカニズム
今吉 格
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870245
生物の相似性を保証する濃度勾配のスケーリング
猪股秀彦
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870249
炎症制御因子“脱ユビキチン化酵素”CYLDの新たな発現制御機構およびCYLDを標的とした新規治療戦略
小松賢生
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870254
転写抑制補因子の複合体形成におけるCK2によるリン酸化の分子スイッチとしての役割
三島正規,小林彩保,金場哲平
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870258
追悼(大場義樹氏を偲んで)
北から南から(東北大学大学院薬学研究科衛生化学分野)
北から南から(神戸大学大学院医学研究科薬理学分野)
ことばのページ
Journal of Biochemistry Vol. 157, No. 2, Vol. 157, No. 3和文ダイジェスト
ばいお・ふぉーらむ
書評

「若手研究者に聞く」をUPしました

「若手研究者に聞く」をUPしました。

平成26年度の奨励賞を授賞されました5名の先生方に「若手研究者に聞く」コーナーへご執筆頂きました。 テーマは当該研究に至った経緯や工夫された点、成功させたコツ、将来の夢などお気軽に お書きいただいたものです。 是非ご一読くださいますようご案内申し上げます。

「若手研究者に聞く」はこちらから

Chance favors only the prepared mind東京大学
西増弘志

h26-1この度は「立体構造から迫る酵素の作動機構」の研究に関し、日本生化学会奨励賞をいただき大変光栄に感じております。私は北海道の田舎に生まれ、研究とは縁のない環境で育ったのですが、幼少の頃からなぜか、生物と無生物の両者が共通の原子によって構成されているということに興味を抱き、将来は研究者になりたいと漠然と考えていました。タンパク質の作動メカニズムに興味があったので、東京大学大学院 農学生命科学研究科 酵素学研究室において6年間、祥雲弘文先生、若木高善先生、伏信進矢先生の指導の下、好熱性古細菌の糖代謝酵素に関する構造機能研究を行いました。修士課程では、当時発見された新規のFBPホスファターゼの結晶構造解析を行いました。博士課程では、分子実体が不明だったヘキソキナーゼの研究を行いました。好熱性古細菌を大量培養し、酵素活性を指標に菌体抽出液からタンパク質を精製し、新規のヘキソキナーゼを同定しました。さらに、結晶構造を決定し、そのユニークな基質特異性の分子基盤を解明しました。これらの研究成果は華やかなものではありませんでしたが、研究テーマの立案から論文執筆までを経験できたことは現在の研究の基盤となっています。

 学位取得後はRNAサイレンシングをはじめとする高次生命機能の分子メカニズムを解明したいと考え、濡木研究室(現東京大学)で研究を行ってきました。RNAサイレンシングの中核因子であるArgonauteの結晶構造は他のグループに先を越されてしまいましたが、Zucchini、ENPP1、ENPP2、A20などの結晶構造を解明することができました。共同研究させていただいた日本を代表する著名な先生方や濡木理先生、石谷隆一郎先生から多くのことを教えていただきました。さらに、この間、学生時代に研究していたFBPホスファターゼが二機能性酵素FBPアルドラーゼ/ホスファターゼであることが偶然発見されました。そこで、アルドラーゼ型の結晶構造を決定し、「一酵素一反応」の常識をくつがえす分子メカニズムの解明に成功しました。これらの研究が一段落し、大きなテーマに挑戦したいと模索しているなかでCRISPR-Cas9と出会えたことは研究人生における最大の幸運かもしれません。Cas9をめぐる研究競争は想定していた以上に厳しいものでしたが、それまでに培った知識と技術を活かし、Cas9-RNA-DNA複合体の結晶構造を世界にさきがけて発表することができました。これらの研究テーマはどれも世界的に注目されており、激しい研究競争がありました。学生時代にこれらの研究テーマに取り組んでいたとしても、競争に負けていたと思います。研究は厳しい世界ですが、道を開くにはいまを必死に生きるしかありません。時間は平等です。チャンスは意外と近くに転がっているのかもしれません。

西増弘志 氏 略歴
2007年3月 東京大学 大学院農学生命科学研究科 博士課程 修了
2007年3月 博士(農学)取得
2006年4月-2007年3月 日本学術振興会 特別研究員DC2(東京大学)
2007年4月-2007年9月 日本学術振興会 特別研究員PD(東京大学)
2007年10月-2008年3月 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 特任助教
2008年4月-2010年6月 東京大学 医科学研究所基礎医科学部門 助教
2010年7月-2013年4月 東京大学 大学院理学系研究科 特任助教
2013年5月- 東京大学 大学院理学系研究科 助教
2013年10月-さきがけ研究者(兼任)

勉強もしないと東京都医学総合研究所
佐伯 泰

h26-5まだまだ現役で手を動かしているものとして、若い方への文章を書くというのは中々難しいのですが、1つ後悔していることを書いてみます。この数年、遺伝学や質量分析計を用いたスクリーニングをたくさんしています。すると全然知らない遺伝子がたくさん取れてきます。勉強をし直す良い機会と思い、Molecular Biology of the Cellを読み直してみると(実は、学生時代もそんなに読み込んだわけでもありませんが)、生命科学の全ての分野がたった15年でここまで進んでいたのかと本当に驚きました。もちろん、自分の専門分野であるユビキチン‐プロテアソーム系の主要な論文は把握していますし、専門外の分野もNature Reviews誌などで幅広く読んできていたつもりですが、やはり、自分の研究に近いところしか目に入っていなかったようです。これは本当に大きな失敗でした。昨今の熾烈な研究競争で中々まとまった勉強の時間を取れないのが実情で、自分の専門分野の文献を読むので精一杯かもしれません。寧ろ勉強するよりトップジャーナルを出すのが先です!なんて意見も聞きますが(私もそうでした)、昔はともかくこれからは逆でしょう。多くの実験がキット化により画一化され簡単になり、次世代シーケンサーや質量分析計の高度化により数百から数千、数万?の分子を対象とした網羅解析が既に一般化しています。例えば、免疫沈降物のMSによるショットガン解析などでは大抵500~1000個の相互作用タンパク質が同定されますが、新しい分子なり新しい経路なり世界で誰も気がついていない発見が含まれているはずです。目の前のリストに宝があるかもしれないのに、それを見過ごすのはとても残念です。実際、私も競争で負けてからデータを見直して自分のセンスの無さに愕然とすることも多々あります。専門分野のみの知識では、やはり見たいものしか見えませんし、大抵のボスは忙しいので、実験者自身が見つける必要があります。ちょうどThe Cellも第6版が出たばかりですので勉強してみては如何でしょうか。ちなみに第6版でプロテアソームの原子構造モデルが追加されており、プロテアソームのみならず、ユビキチン、オートファジーなどタンパク質分解に関する文章も増えています。このように定点観測にも最適かと思います。第7版に自分の図が載ることを目標にしても良いかもしれません。頑張って勉強する時間を確保しましょう。

佐伯 泰 氏 略歴
2003年 北海道大学大学院 薬学研究科 博士課程修了 博士(薬学)
2003年 日本学術振興会特別研究員(PD
2007年 東京都臨床医学総合研究所・研究員
2013年~ 東京都医学総合研究所・副参事研究員

「体のなかのスイッチ」に魅せられて京都大学大学院生命科学研究科
生沼 泉

 h27-4高校生の頃から発がんのメカニズムに興味があり、中でも「Rasという小さなスイッチ役たんぱく質の1カ所の変異でも細胞をがん化してしまう」ということに衝撃を受けました。この衝撃が今でも研究のモチベーションの礎となっています。父がエンジニアだった影響で、集積回路の組み立てや機械いじりは日常慣れ親しんで好きな光景でした。いわば、「体のなかのスイッチ」を研究することは、私の憧れでした。

 卒研生で配属された当初の研究室ではRasの近縁の、Rhoの研究が精力的に行われていました。その中の1つ、Rndの研究のプロジェクトに加わることになり、当初2年ほどは、Rndの結合分子として同定されていたPlexinファミリーという受容体タンパク質の機能に関する研究をしていました。Plexinは脳内で神経細胞の道しるべを担う、神経ガイダンス因子semaphorinの受容体です。当初はPlexin-B1に関して研究を行い、Plexin-B1がRnd1と機能共役をすることで、下流で低分子量Gタンパク質RhoAを介したアクトミオシン収縮の経路の活性化を引き起こすことで、細胞の退縮を引き起こすことを明らかにし、論文にまとめました。しかしながらPlexinにはA~Dの4つのサブタイプがあるのですが、RhoA活性化に必要なドメインはB以外のサブタイプのPlexinには存在しなかったことから、「この経路はきっと本質ではないのでは?」と思い、論文採択後の達成感はいまひとつでした。

 そんな中、Plexinに共通に保存されたドメインに目をとめました。「共通なものには意味があるかも」と考え、解析した結果、R-Rasの不活性化を触媒する酵素として働きうるドメインであることがわかりました。その後、その酵素活性の実在を検証するために、昼でも薄暗いRI実験室に通い、32PでラベルしたGTPのトレース実験を一人深夜まで行い、シンチレーションカウンターの結果を解析した際のドキドキ感は良い想い出です。結果、幸運にもPlexinという受容体がR-Rasの不活性化酵素として働くという、全く新奇な情報伝達機構の解明となりました。その後の研究で、R-Rasが神経ガイダンスのキー分子であることを明らかにでき、さらにR-Rasの活性が、semaphorinによって負に制御されることで細胞の運動の抑制が起こることを見いだしました。スタッフに任用されて以降、次のステップとして、イギリスのがん専門医の臨床グループとの共同研究が実現し、骨転移を起こす悪性度の高い前立腺がん細胞では、Plexinに点変異が入っており、そのためにR-Ras活性を抑制できないことが細胞運動亢進につながっていることを明らかにできました。また同時並行で、R-Rasが担う神経細胞形態制御のメカニズムに関してもより深く研究を行っております。最近ではJSTさきがけでの仲間の助けを得ながら、シグナル経路を同定するだけでなく、全反射イメージングや、マウス個体で「シグナル経路を見る、操作する」ことにもチャレンジしております。

 今後も基礎研究を通じて、人々の健康と福祉の向上に役立つことを目標としつつ、日々、仲間のありがたさを実感しながら、きっちりした研究を積み重ねていく所存です。

生沼 泉 氏 略歴
2007年  京都大学大学院生命科学研究科 博士後期課程修了 (DC1)
       博士(生命科学)を取得 (根岸学教授)
       同 助教
2011年  戦略的創造研究推進事業 さきがけ研究者
       「脳神経回路の形成・動作と制御」 領域 兼任
       京都大学大学院薬学研究科助教(兼担)
2013年  京都大学物質-細胞統合システム拠点助教(連携)

学問の王道東京大学医学部/マサチューセッツ工科大学コーク癌総合研究所
鈴木 洋

 h26-3この度は、マイクロRNA (microRNA)の生合成と遺伝子発現調節機構に関する研究について、日本生化学会奨励賞という大変名誉ある賞を頂戴し、諸先生方ならびに学会関係者各位に厚く御礼申し上げます。私のこれまでしてきた研究の内容が非常に生化学的かと言われると、そんなだいそれたことはもちろん言えようもありません。しかし、今回の受賞を機会に自分自身で生化学とは何だろうかと考え直すと、生化学はまさに「生物学の王道」の1つであるように思います。

 私は、大学生時代、再生医学的な意味合いで「さまざまな細胞はどうやってできるのか」ということに興味をもっていた時期があり、当時はいわゆる転写因子による制御が注目されていたのですが、そうではない側面が重要であるはずだと考え、RNAやこれまで研究してきたmicroRNAに興味を持ち始めました。その後、大学卒業後、研修医として働き始めたので研究からは遠くなったのですが、一日の業務が終わってあと30分、1時間とmicroRNAなどの論文を読んで何とか攻めるアプローチはないものかと考えていました(microRNAに関する論文がNature, Science, Cellといった雑誌にどんどん出始めた頃です)。その後、東大分子病理学で宮園浩平先生から新しい分野を開拓しようというチャンスをいただけたので、大学院生としてmicroRNAに関する研究を開始しました。かなり途中を省略してしまいますが、分子生物学、生化学、バイオインフォマティクスなど色々なアプローチでmiRNAについて研究して今に至ります。

 ということで、私自身の生化学の修行は諸先生方と比較して全く誇れるようなものではないのですが、生化学というと、教養学部の時に受講した、とある名物教授の生化学の授業が非常に印象に残っていて、酵素反応速度論をきれいだなと思ったことを思い出します。miRNAと酵素反応速度論、一見関係なさそうに見えるのですが、実は最近、miRNAとは何か、miRNAはどのようにして機能するか、という普遍的な問いについて、そして、RNAiの発見/miRNAの発見から永らく謎のままであったある問題が、この酵素反応速度論の拡張によって解かれることに気付き、「生化学」の不思議な力を実感しました。こういうタイプの生化学もあるのかもしれません。生物学・医学は、基礎でも応用でも、現在、非常に多様なアプローチが可能であり、そして、(特に日本では)応用を魅せることが重要視されがちですが、基礎の、生化学のエッセンスがなければそれらは可能でないように思うのです。

 現在、私はマサチューセッツ工科大学(MIT)のPhillip A. Sharp教授(1993年ノーベル生理学・医学賞)のもとに留学しています。彼はもともと化学でPh.D.を取得した人ですが、生物を化学として見ることができることは、大きな強みです。

 日本では最近、研究者も持続可能な社会ということを言うようになっていますが、Philらが持続可能なサイエンス/研究/学問のために努力していることを目の当たりにすると、日本と世界の差は開きつつあるのかもしれません。MITではいろいろ勉強になりますが、「学問には王道しかない」ということを再び噛みしめています。「世界と勝負」、研究に邁進して行きたいと思います。

鈴木 洋 氏 略歴
平成16年3月 東京大学医学部医学科卒業
東京大学医学部附属病院臨床研修医、後期研修医、日本学術振興会特別研究員 (DC1)を経て、
平成22年3月 同大学院医学研究科早期修了 博士(医学) (宮園浩平教授)
平成22年4月 東京大学大学院医学系研究科 分子病理学 特任助教
平成26年4月 マサチューセッツ工科大学コーク癌総合研究所 (Phillip A. Sharp教授)

何を研究するのか京都大学 医学研究科 医化学教室
鈴木 淳

大学院生に向けてということで、今回の生化学会奨励賞受賞テーマである細胞膜リン脂質のスクランブル機構になぜ取り組んだのかを書きたいと思います。大学院を卒業して幸運にも長田重一先生の下でポスドクとしてトレニーングを受ける機会を頂き、自分が何をしたいのか最初の1ヶ月間考える時間を与えられました。自分のおもしろいと思ったことを研究するというのが答えのように思いますが、それが本当に新しいことなのか、重要なことなのか常に考える必要があります。私の場合、おもしろいけれども既に多くの人が取り組んでいる(だろう)研究は、自分自身が独自性を出すのは難しいだろうと考えました。まだメカニズムがほとんど分かっていない重要な現象に取り組みたい、過去の人達の実験にあまりとらわれずに自分自身で一つずつ実験系を構築しながら進めていきたい、という気持ちがありました。そのようなテーマであれば自分自身の実験結果をより先入観がない状態で解釈できるのではないかと考えたからです。ほとんど分かっていない分野に飛びこむというは勇気がいります。難しいと考えられるテーマほど自分自身で明らかにできない可能性が高いからです。しかしながらポスドクという一番実験ができる時期だからこそチャレンジングなことをするべきだと考えました。そして取り組むことになったのが「アポトーシス時にホスファチジルセリン(PS)がどのように細胞表面に露出するのか明らかにする」というテーマです。当時長田研ではマクロファージが死細胞をどのように貪食するのかというテーマで研究が展開されており、死んだ細胞の表面に露出するPSに特異的に結合する受容体が幾つかとられていました。しかしながらPSがどのように細胞表面に露出するのかは未だ不明でした。過去の論文を読むと「リン脂質が双方向に区別なく輸送した(スクランブルした)結果、通常は細胞膜の内側に局在するPSが露出する」と記述されてはいますが、この過程を分子レベルで記述した論文はありません。また、血液凝固や細胞の融合時など幾つかの生物現象でもPSが露出すると記述されてはいましたが、その分子メカニズムが全く分かっていない。脂質生物学としてだけでなく、生理的にも重要な現象でやりがいがある研究だと思いました。結果的に6年の歳月をかけて血液凝固の時にリン脂質をスクランブルする分子、アポトーシスの時にリン脂質をスクランブルする分子を同定できました。それは素晴らしい師の指導、素晴らしい同僚のサポートがあった中で達成された成果でありますが、自分自身はどうだったかと問うと、「知りたい」と思った気持ちが強いテーマであったがゆえに、多くのネガティブデータを糧にして前に進めたと思っています。

(公財)住友財団

公益財団法人住友財団 2015年度 基礎科学研究助成、環境研究助成

応募締切:2015年6月16日(火)必着(データ送信の場合)

     2015年6月30日(火)必着(郵送の場合)

詳細は公益財団法人住友財団のWEBサイトをご覧ください。

http://www.sumitomo.or.jp/

2015年度(公財)アステラス病態代謝研究会 研究助成金・海外留学補助金

2015年度(公財)アステラス病態代謝研究会 研究助成金・海外留学補助金のお知らせ

詳細は財団HPをご確認下さい。

http://www.astellas.com/jp/byoutai/index.html

(公財)井上科学振興財団

公益財団法人井上科学振興財団

・第32回(2015年度)井上学術賞

 ※学会推薦が必要です。:応募締切 2015年8月17日(月) 財団の締切:2015年9月17日(木)必着

・第32回井上研究奨励賞:応募締切 2015年9月17日(木)必着

・第8回(2016年度)井上リサーチアウォード:応募締切 2015年7月31日(金)必着

 

 詳細は公益財団法人井上科学振興財団のWEBサイトをご覧ください。

 http://www.inoue-zaidan.or.jp/

「会長だより号外:会員間の呼称について」のお詫びと説明

「会長だより号外:会員間の呼称について」のお詫びと説明

 

日本生化学会会員のみなさん、

 

     会長 中西義信

 

3/31の深夜に配信された私からの メールが、一部の会員の方に混乱・憤り・不快感などを与えてしまったことをお詫びいたします。また、JBS掲示 板がうまく作動しなくなり、その復旧を待ったためにこの連絡が遅くなりました。

 

私は、エイプリルフールの話題 として4/1の朝 にみなさんに読んでいただこうと思い、今回の文書を送信しました。通常の「会長便り」とは形式を変え、“今回(通常):会長だより(会長 便り)、会員の皆様(会員のみなさん)、年月日(年月のみ)、本会ウェブサイトでの掲載なし(掲載有り)”、これがエイプリルフールであ ることをにおわせたつもりでした。話題とした内容に加え、配信作業の都合で3/31中に みなさんに届いたことも、混乱を招く一因となりました。

 

<JBS掲示 板について>

 4/1から4/2にかけて、この件に関する何通かの書き込みが掲示板から削除されてしまいました。これは意図的に行われたのではなく、短時間に多くの利用があったため掲示板に不具合が生じたことによります。直ちに担当業者に連絡させて現在は回復しています。

 掲示板の開設以来、利用が少なかったことから、現在は会員以外の人でも書き込みができるようになっています。今回のことでの書き込みには少々激しい言葉遣いのものもみられ、非会員からの投稿があったのかもしれません。また、方向の少し異なる話題の書き込みもありました。JBS掲示板が今後も利用され、会員の意見交換の場であり続けることを期待します。

 

会長

中西義信

【推薦依頼】日本医師会治験促進センター

日本医師会治験促進センターより推薦依頼がありました。

 

臨床研究・治験促進研究事業における治験候補薬及び治験候補機器の推薦依頼について

 

詳細は治験促進センターのWEBサイトをご覧ください。

http://www.jmacct.med.or.jp/clinical-trial/research.html

藤原セミナー募集

2016年~2017年開催 藤原セミナー 募集

詳細は公益財団法人藤原科学財団のWEBサイトをご覧ください。

http://www.fujizai.or.jp/J-s-jigyo.htm

「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」の一部改正について

厚生労働省大臣官房統計情報部長から日本医学会を通して、「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」の一部改正についての依頼がありましたので、ここに告示申し上げます.


関連のURLは,
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000078797.pdf です.

なお,詳細は,厚生労働省医薬食品局血液対策課血液安全係(担当:野田氏 電話:03-3595-2395(内線2914)にお問い合わせ下さいますようお願い申し上げます.

平成27年度島津賞

平成27年度島津賞 のお知らせ

応募締切:平成27年9月30日(水)財団必着

※財団の推薦依頼学会からの推薦が必要です。本会への応募締切は上記の1か月前となります。

 

詳細は公益財団法人島津科学技術振興財団 のWEBサイトをご覧ください。

http://www.shimadzu.co.jp/ssf/

「日本学術会議からニューズレターのご案内」

第23期日本学術会議は、2014年10月に活動を開始いたしました。
日本学術会議は、「わが国の科学者の内外に対する代表機関」(日本学術会議法第2条)として、社会が抱える課題や国民の福祉増進につながる科学振興に関して、会員・連携会員による審議にもとづいて政策等に関する提言や国民に対するメッセージを「提言」などの形で発する活動を行なっております。このほど発表された「第5期科学技術基本計画のあり方に関する提言」(2015年2月27日)は、「今日、社会が解決を求めている様々な課題に応えるために、自然科学と人文・社会科学とが連携し、総合的な知を形成する必要があるとの認識はかつてなく高まっている。その際、現在の人間と社会のあり方を相対化し批判的に省察する、人文・社会科学の独自の役割にも注意する必要がある。自然・人間・社会に関して深くバランスの取れた知を蓄積・継承し、新たに生み出していくことは、知的・文化的に豊かな社会を構築し次世代に引き継いでいくことに貢献すべき科学者にとって、責任ある課題であることを認識しなければならない」として、「学術の総合性という視点に立って、とりわけ人文・社会科学の振興を明確に位置づけ、下からの発意の重視、多様性の尊重、相対的に少額でも安定した研究資金の確保、学術的に価値のある史資料の保存など、それにふさわしい方策を打ち立てることが急務となっている」と指摘しております。第一部(人文・社会科学)では、このような諸分野にわたる〈学術〉の不可欠の一部としての人文・社会科学の振興を、重点的な課題のひとつとして位置づけております。
これらの活動を展開するうえでは、協力学術研究団体(学協会)およびその会員の皆さまに日本学術会議の活動についてよりよく知っていただき、また皆さまのご意見をお聞きしながら自らの役割を遂行することが必要であることから、学協会との結びつきの強化を今期のもうひとつの重要課題といたしました。
そこで、第一部では、従来から部の活動を発信する媒体として独自にニューズレターを刊行し、日本学術会議のウェブサイトに掲載しておりますが、この内容を充実させ、日本学術会議と学協会との結びつきを深めるためのツールとして重視したいと考えております。

                                           2015年3月
                                           日本学術会議第一部長
                                           小森田秋夫

日本学術会議のウェブサイト http://www.scj.go.jp/
「委員会の活動」→「第一部(人文・社会科学)」→「ニューズレター」http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/1bu/index.html

                       《この件に関する連絡先》
                       【本件に関する内容のお問い合わせ先】内閣府 日本学術会議事務局
                        参事官(審議第一担当)付専門職付
                        原 田 栄 理 奈(Erina Harada)
                        〒106-8555 東京都港区六本木7-22-34
                        Tel :03-3403-5706(直通)
                          03-3403-3793(内線2403)
                        FAX :03-3403-1640
                        E-mail: erina.harada(at)cao.go.jp ※(at)は@となります。

                       【協力学術研究団体担当】塩満 ℡03-3403-3793(内線2161)
                        E-mail:masaya.shiomitsu(at)cao.go.jp  ※(at)は@となります。

「疾病,傷害及び死因の統計分類の改正に関する告示について」

厚生労働省大臣官房統計情報部長から日本医学会を通して、「疾病,傷害及び死因の統計分類の改正に関する告示について」の依頼がありましたので、ここに告示申し上げます.

 

 関連のURLは,

http://www5.cao.go.jp/statistics/meetings/iinkai_82/iinkai_82.html です.

 

 詳細は,厚生労働省大臣官房統計情報部企画課国際分類情報管理室疾病傷害死因分類係(03-5253-1111 内線:7493) 担当:中濱氏)にお問い合わせ下さいますようお願い申し上げます.

 

遠山椿吉記念 健康予防医学賞

遠山椿吉記念 健康予防医学賞のお知らせ

4月1日から公募開始

平成27年6月末日締切で、予防医療をテーマとした原著論文を募集

詳細は一般財団法人東京顕微鏡院 のサイトをご覧ください。

http://www.kenko-kenbi.or.jp/koueki/koueki-chinkichi/

 

会長便り第11号:Thinking in Japanese

日本生化学会会員のみなさん、

 

今号では研究における言語について考えます。

 

 昨年末に、会員のみなさんから“大会のあり方”についてウェブ上で意見をいただきました。使用言語に関する設問への回答では「発表と討論での言語は自由にする」が大多数であり、自由記述では“日本語で発表して日本語で討論する”との意見が大半を占めていました。ほぼすべての会員は英文で論文を書いているはずであり、この調査結果は“学会発表は日本語・論文発表は英語”を意味しています。日本語での学会発表を支持する理由として、“英語でまともな討論のできる会員は少ない”や“大学院生などの若い会員には英語での発表は敷居が高い”など、英語力の稚拙さを挙げる人が多くみられました。それでは、私たちの英会話力さえ上がれば、英語で発表と討論を行う大会にできるのでしょうか。そんなに単純なことではないかもしれません。

 

 みなさんは論文原稿を作る時に、どのように思考していますか。私は、まず書きたいことの要点を日本語で考えて和文で箇条書きにし、次にそれに沿って(たぶん)あまり頭を使わずに英文を作ってゆきます。私にとって、論文の内容を初めから英語で考えることは難しく、論理的な思考では母国語である日本語が優勢です。

 

 このように“やっぱり日本人は日本語で思考するんだな”と思っていたところ、新聞の書評で「日本語の科学が世界を変える」という本(松尾義之著、筑摩選書、2015年1月)を知りました。松尾氏は東京農工大学工学部卒で「日経サイエンス」の副編集長を務めた方です。この本で松尾氏は、日本での科学は日本語で育まれてきた、科学に関する外国語の単語や記述を日本語へ翻訳する過程で付加価値が生まれる、オリジナリティーに乏しい内容の英語論文を書くくらいなら概念を説く論文を日本語で発信しよう、などといった主張を展開しています。

 

 文部科学省は、“国際化”を“グローバル化”と言い換え、大学での教育の英語化を進めようとしています。教員には英語での授業、学生には英語検定試験受験や在学中の海外留学などが義務化されてゆきます。採用時にTOEICなどの点数で応募者を足切りする企業も増えてきました。私たち大学教員は、“英語を使えないと国内企業にさえ就職できない”と学生を指導する一方、“英語ではまともな議論にならない”と学会では日本語での発表と討論を続けています。公式な場で日本人が英語を使うと、“本田選手は記者団の質問に英語で応じた”のように、“英語で”という但し書きが付け加えられます。日本人にとっての英語、特に英会話は、黒船来航のトラウマかもしれません。

 

 英語で発表と討論を行うとまともな議論にならないのは、英会話ができないからではなく、日本人の頭脳は日本語で考える構造になっているからではないでしょうか。私たちは、英語を使う能力と英語で思考する能力を区別して扱わないと、英語は使えるが論理的思考のできない学生ばかりを作ってしまいかねません。

 

 そうは言っても、国際的な学術集会では英語での発表と討論をやらねばなりません。ITC技術の進歩が「ウェアラブル瞬時通訳装置」を登場させてくれるまでは、英語で思考する力を養うべく頭の構造を変える努力を続ける必要があります。

 

 2015年3月

中西義信

会長便り第11号 を掲載しました.

会長便り第11号 を掲載しましたのでぜひご覧ください。https://www.jbsoc.or.jp/letter

第15回山崎貞一賞

第15回山崎貞一賞 のお知らせ

学会推薦締切:2015/3/30(月)

応募締切: 2015/4/30(木)

詳細は一般財団法人材料科学技術振興財団のサイトをご覧ください。

http://www.mst.or.jp/prize/

理化学研究所和光地区一般公開

国立研究開発法人理化学研究所 和光地区一般公開

開催日時:平成27年4月18日(土)9:30から16:30

開催場所:埼玉県和光市広沢2-1

     国立研究開発法人理化学研究所 和光地区

詳細は理化学研究所のサイトをご覧ください。(3月20日公開予定)

http://openday.riken.jp/

平成27年度(第56回)科学技術週間

平成27年度(第56回)科学技術週間

平成27年4月13日(月)~4月19日(日)

詳細は文部科学省のサイトをご覧ください。

http://stw.mext.go.jp/

HMTメタボロミクス先導研究助成

2015年度 HMTメタボロミクス先導研究助成

受付期間:2015年5月1日から2015年7月31日(必着)

詳細はウェブサイトをご覧ください。

http://humanmetabolome.com/02/12746

 

動物学会女性研究者奨励OM賞

動物学会女性研究者奨励OM賞

応募締切日:平成27年3月31日(火)午後5時

詳細は動物学会のWEBサイトをご覧ください。

http://www.zoology.or.jp/html/01_infopublic/01_index.htm

第12回日本学術振興会賞

第12回(平成27年度)日本学術振興会賞のお知らせ

応募期間:平成27年4月13日(月)から15日(水)※期間中必着

詳細は日本学術振興会のHPをご覧ください。

http://www.jsps.go.jp/jsps-prize/

第31回国際生物学賞

第31回国際生物学賞のお知らせ

※学会推薦が必要です。学会推薦締切:2015年3月15日(日)必着

 

詳細は日本学術振興会のサイトをご覧ください。

http://www.jsps.go.jp/j-biol/

JBA三賞(一般財団法人バイオインダストリー協会)

一般財団法人バイオインダストリー協会JBA三賞のお知らせ

 

応募締切:2015年5月7日(木)※三賞共通 詳細は各URLをご覧ください。

 

バイオインダストリー協会賞:

http://www.jba.or.jp/pc/activitie/research_encouragement/info/001671.html

 

発酵と代謝研究奨励賞:

http://www.jba.or.jp/pc/activitie/research_encouragement/info/001672.html

 

化学・生物素材研究開発奨励賞:

http://www.jba.or.jp/pc/activitie/research_encouragement/info/001673.html

ブルーアース2015

平成26年度独立行政法人海洋研究開発機構 研究成果発表会

ブルーアース2015 開催のご案内

開催日:平成27年3月19日(木)~20日(金)

会 場:東京海洋大学 品川キャンパス

参加費:無料(申込不要)

主 催:独立行政法人海洋研究開発機構

詳細は下記サイトをご覧ください。

http://www.jamstec.go.jp/maritec/j/blueearth/2015/

JAMSTEC2015

独立行政法人海洋研究開発機構 平成26年度研究報告会「JAMSTEC2015」

テーマ   海からはじまる新しい価値創造

日時:2015年3月4日(水)13:00~17:30(開場は12:30)

場所:東京国際フォーラム ホールB7(定員450名) 東京都千代田区丸の内3-5-1
[交通アクセス](JR 線有楽町駅より徒歩1分)

詳細は下記サイトをご覧ください。

http://www.jamstec.go.jp/j/pr/event/jamstec2015/

 

ノーベル・プライズ・ダイアログ・東京2015

ノーベル・プライズ・ダイアログ・東京2015

日時:平成27年3月1日(日曜日) 10時~17時30分

場所:東京国際フォーラム ホールB7/B5

定員:1,000名程度(先着順、要申込み)

言語:英語(日英同時通訳つき)

参加費:無料

会議の詳細、参加申込みは下記の専用ホームページをご覧ください。

ノーベル・プライズ・ダイアログ・東京2015(※独立行政法人日本学術振興会 参加登録専用ウェブサイトへリンク) http://www.nobelprizedialogue.org/tokyo2015/jp/

ポスドク問題検討委員会<生科連からの重要なお願い>

ポスドク問題検討委員会<生科連からの重要なお願い>

 

日本生化学会 会員各位

                                  会長 中西義信

以前より本会は「生物科学学会連合」(生科連)(代表 浅島誠氏)の活動に協力しています。
生科連では、いわゆる“ポスドク問題”の解決を目的として、 「ポスドク問題検討委員会」を
組織することになりました。本会からは理事の田之倉優さん(東大)が委員として参加し、
同委員会で活動 してもらうことになっています。
このたび、行政や企業を含めたポスドク問題が関係するあらゆる個人・団体に向けて、最初
の声明が出さ れました。これを会員のみなさん に周知するとともに、本会ウェブサイトに掲
載します。この件については、今後にJBS掲示板を利用して議論してゆきますので、みなさん
にはこの活動を理解し支援していただくとともに、 意見や提案を出して欲しいと思います。
なお、生科連の平成27・28年度の代表には本会元会長の中野明彦さん(東大)が就く ことが
決まっており、本会との関わりはより密になります。

ポスドク問題検討委員会について (詳細は以下をご覧ください。)

https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2015/02/seikarenposdoc.pdf

「大会のあり方」調査結果を掲載しました

「大会のあり方」調査結果のお知らせ

 

 会員各位、

                                         会長 中西義信

昨年末に行った「大会のあり方についての会員の意向調査」の結果が まとまりましたので、お知らせします。

1000名を越える方にこの調査に参加していただきました。ありがとうございます。
「懇親会」と「他学会との合同開催」では要望が分かれましたが、それら以外のことについてはおよそ現状を

支持する意見が多かったように思えます。
大会はその年の会頭が組織する “大会準備委員会”が企画して実施します。そのため、大会の有り様は会頭の

考えが反映されたものに なります。それ自体は好ましいことですが、学会として求めたい取組みなどがある

場合は、それを会頭に提言する仕組みが設けられています。

執行部では、来月より今回の調査結果を分析して、会員が望む大会に近づけるべく改善点などを探ってゆきます。
引き続きみなさまには、大会への要望をJBS掲示板によりお知らせ くださるようお願いします。

  「大会のあり方」調査の結果とご意見はこちら
https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2015/01/report_jbs87th.pdf

公益社団法人日本生化学会
E-mail:jbs-ho@jbsoc.or.jp

 

 

 

会長便り第10号:Author’s Responsibility

日本生化学会会員のみなさん、

 

今号では論文著者の責任について考えます。

 

近頃は、論文あたりの著者がひと昔前よりも多い傾向にあります。これは研究の完成に異分野間の共同研究が必要になったことや、解析対象となるデータの規模が大きくなったことが要因に挙げられますが、これとは別に“不適切な著者”の増加が指摘されています(「会長便り第5号」でも少し触れました)。ほぼすべてのジャーナルでは著者としての責任と義務を定めており、さらに各著者の貢献を具体的に論文原稿に記述すること(Contribution Statementなどとよばれます)が求められる場合もあります。私たちのJBでは、投稿時に「Authors’ Responsibility and Conflict of Interest Form」の提出が必要であり、すべての著者がその研究の企画、実施、あるいはデータの解析と解釈、ならびに論文原稿の作成に貢献したことを示す書類に署名することを求めています。“不適切な著者”とはこのような責任と義務を実際には果たしていない著者のことを表し、英文では“guest, honorary, or ghost authorship”のようによばれます。それでは、なぜ“不適切な著者”がいるのでしょうか。それは、その存在が“本来の著者”を益する場合があるためであろうと推測されます。たとえば、著名な研究者が共著者に名を連ねると論文原稿がジャーナルに採択されやすくなる、“本来の著者”が研究費獲得や人事(採用、昇進など)において“大物”の共著者に便宜をはかってもらえる、あるいは学生や部下が著者となる論文を作ることで指導者としての責任を果たせる、などといった動機があるのかもしれません。つまり、“本来の著者”が意図的に“不適切な著者”を作っていることになります。

 

 一方、不適切とまではゆかなくても、先ほどとは別の理由で本来の責任と義務を果たしているとは言えない共著者がうまれることがあり、その多くは共同研究の実施に適切さを欠くために起こります(EMBO Rep. 15:914)。共同研究者の間では「知識・技術面の適切性(epistemic integrity)」と「倫理面の適切性(moral integrity)」の両方が満たされることを確認することが必要であるとされています。しかし、教育・研究面の上下関係の存在や専門分野の隔たりのために、実際にはこれが実行されていない例があるようです。このような場合には、一部の著者による研究不正があったとしても、他の著者がそれに気づかずに研究成果が公表されてしまう可能性があります。過去に話題にのぼった研究不正の多くでは、不正の実行に直接的には関わっていない共同研究者は責任を問われていません。これは、不正が特定個人により実行され、専門性の異なる他の共同研究者はそれに関わることができなかったとみなされるからです。つまり、不正への責任が及ばないことで、共同研究が適切に実施されなかったことが図らずも露呈しているのです。EMBO Rep.誌の記事では、共同研究者が導きだす成果が“何か変だ”とか“完全過ぎる”と感じられる場合にはより慎重にその信憑性を確認するべきだとする一方で、“自己の課題設定や作業仮説が証明されることの誘惑”がその確認を妨げる場合の多いことも指摘しています。

 

不適切かどうかにはかかわらず、著者が多くなる背景として著者数が論文の価値や本来の著者へのクレジットに影響しないことがあります(かつてProc. Natl. Acad. Sci. USA誌が論文あたりの著者数の上限を定めていた時期があるように記憶します)。著者数の大小は論文の内容の良し悪しに関係ないかもしれませんが、bibliometricsへの影響を指摘する声があります(EMBO Rep. 15:1104)。これは、著者の多い論文が引用されると多数の研究者のh index(「会長便り第2号」を参照ください)が上昇するために、著者の少ない論文との間に不公平が生じるというものです。この問題を解消するための方策として、ひとつの論文の被引用で生じるクレジットを一定にしてそれを著者間で按分することや、著者の貢献度に応じて按分比率を変えることも提案されています。

 

さらには、上記のような“不適切な著者”がいるくらいなら論文原稿の審査員を共著者に加える方がまし、とまで言う人もいます(EMBO Rep. 15:1106)。“真の著者だけがいる論文”にするためには、私たち自身が著者としての責任と義務を果たすように努めるしかありません。

 

2015年1月

中西義信

第40回井上春成賞

第40回井上春成賞

募集期間:平成27年2月9日(月)から3月31日(火)まで ※消印有効

詳細は井上春成賞のサイトをご覧ください。(2月2日から公開)

http://inouesho.jp/

(公財)三島海雲記念財団研究助成金

公益財団法人三島海雲記念財団 研究助成金公募

募集期間:平成27年1月10日(土)から2月28日(土)

詳細は公益財団法人三島海雲記念財団のサイトをご覧ください。

http://www.mishima-kaiun.or.jp/index.html

「生化学」誌第86巻6号の電子版のご案内

会員各位

「生化学」誌第86巻6号の電子版が掲載されましたのでご案内申し上げます。

 

 生化学会ウェブサイト-学会誌/出版物-生化学 電子版

https://www.jbsoc.or.jp/journal

七桁の会員番号とパスワードをご入力ください。

 

会員番号およびパスワードがご不明の場合は、下記事務局までお問い合わせくださいますよう
お願い申し上げます。個人情報をお伺いする場合がございますので予めご了承ください。

 

【お問い合わせ先】

公益社団法人日本生化学会 事務局

TEL:03-3815-1913  FAX:03-3815-1934

E-mail: jbs-ho@jbsoc.or.jp

第39回内藤コンファレンスポスター発表者募集

第39回内藤コンファレンスポスター発表者募集のお知らせ

公募は2014年12月16日(火)から2015年1月20日(火)の期間中

詳細は内藤記念科学振興財団のサイト http://naito.umin.jp をご覧ください。

 

第12回江崎玲於奈賞

第12回江崎玲於奈賞のお知らせ

募集期間:平成26年12月17日(水)から平成27年3月6日(金)必着 まで

※学会推薦が必要です。学会締切は平成27年2月5日(金)必着

詳細は下記サイトをご覧ください。

http://www.i-step.org/prize/esaki/

東北大学加齢医学研究所共同利用・共同研究

平成27年度東北大学加齢医学研究所 共同利用・共同研究公募のお知らせ

申請書提出期限:平成27年1月31日(土)必着

申請方法は研究所のサイトをご覧ください。

http://www.idac.tohoku.ac.jp/index.ja.php

公益財団法人三菱財団:平成27年度助成金公募

公益財団法人三菱財団:平成27年度助成金公募のお知らせ

1. 第46回自然科学研究助成

 応募開始日:平成27年1月6日(火)から 応募締切日:2月3日(火)

2. 第44回人文科学研究助成

 応募開始日:平成27年12月17日から 応募締切日:1月14日(水)

3.第46回社会福祉事業並びに研究助成

 応募開始日:平成26年12月24日(水)から 応募締切日:1月21日(水)

詳細は公益財団法人三菱財団のサイトhttp://www.mitsubishi-zaidan.jp/ をご覧ください。

2015年ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞/特別賞

2015年度「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」ならびに

「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞―特別賞」募集開始のお知らせ

応募期間:2014年11月17日(月)から2015年2月28日(土)まで

※締切日の消印は有効

詳細は 下記URL をご覧ください。

http://www.nihon-loreal.jp/corp/csr/award2015.php

ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリー ド・ワグネル賞2015」

ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリー ド・ワグネル賞2015」

応募締切:2015年1月12日(月)

詳細は下記URLをご覧ください。

http://www.german-innovation-award.jp

サッポロ生物科学振興財団2015年度研究助成

サッポロ生物科学振興財団2015年度研究助成のお知らせ

応募締切:2014年12月26日(金)必着

詳細は下記URLをご覧ください。

http://www.sapporoholdings.jp/foundation/koubo/index.html

第4回新化学技術研究奨励賞

第4回新化学技術研究奨励賞 のご案内

応募締切:2015年1月9日

詳細は下記URLをご覧ください。

http://www.jaci.or.jp/recruit/page_02_04_2015.html

第56回藤原賞

第56回藤原賞のお知らせ

応募締切:2015年1月31日(土)必着

詳細はhttp://www.fujizai.or.jp/download.htm をご覧ください。

平成27年度「乳の学術連合」学術研究公募

平成27年度「乳の学術連合」学術研究公募のご案内

公募期間:平成26年11月1日(土)から12月31日(水)必着

詳細は http://www.j-milk.jp/m_alliance/index.html をご覧ください。

会長便り第9号:Reviewer Experiment

日本生化学会会員のみなさん、

 

ジャーナルに投稿された論文原稿の査読(Peer Review:会長便り第7号)について、問題点を挙げてその解決策を考えます。

 

会員の多くが経験していると思いますが、審査員の要求に応じて原稿を改訂するには多大な労力と長い時間を費やすことが必要です。これはおもに、審査員が過大な追加実験を求めるからであり、その程度はJournal Impact Factorの数値に比例する傾向にあるようです。また、苦労の末にようやく再投稿しても、さらなる改訂が求められたり、掲載を断られてしまうこともあります。著者を困らせる追加実験は「それは必要ないだろう」と「それは無理だよ」というものにわかれ、原稿に記述された研究の結論にさほど影響しないものが含まれる場合も少なくありません。このような追加実験は、審査員が論文自体を判定するのではなく記述された研究を発展させようと思いつくと考えられ、よく“Reviewer Experiment”とよばれます(Science 321:36; Nature 472:391)。さらに、“Supplementary Information”の制度が束のような追加実験の要求に拍車をかけています。Reviewer Experimentの問題点は、重要な発見の公知が遅れることに加え、科学者がジャーナルの求めるデータを出すことをめざすために独自の発想に基づく研究が乏しくなってしまうことにあります。さらには、著者がReviewer Experimentの回避のために実験結果を発展的に考察することをやめてしまい、論文の質が低下してゆくと指摘する人もいます(EMBO Rep. 15:818)。

 

論文原稿の査読はジャーナルへの掲載の可否を判定するために行われますが、審査員が著者とやりとりする過程で原稿の質が高まるという効果もうみだされます。上記の問題は、本来ならば編集委員による調整で回避されるはずですが、“各審査員の意見を精査して妥当なものだけを著者に通知する”のような交通整理をやってくれる編集委員にお目にかかるのはまれです。さらに、Peer Reviewなので審査員も著者として論文原稿を投稿することがあるはずなのですが、いったん審査にあたると逆の立場になる場合のあることを忘れてReviewer Experimentを要求してしまうようです。

 

この現状を問題視するジャーナルが「改善策」を講じており(eLife 2:e00799; EMBO Rep. 15:817)、要点は次のようなものです。

1. 編集委員が選別した採択の可能性の高い原稿を審査員による査読に供する。

2. 採択された論文について審査過程(審査員と著者の間のやりとり)を公開する。

3. 編集委員が審査員の意見を統合した判定結果を作成して著者に通知する。

 

さらに、審査員間で判定のための話し合いを行う、審査員意見の適切性を検討する制度を設ける、追加実験は適宜な時間・手法・労力で可能なものにする、詳細な査読に供した論文は原則として採択する、ことなども検討されているようです。EMBO J.誌やeLife誌などは既にこれらの多くを実行しています。また、このような手順を導入すると編集委員の仕事量が増大するため、他の多くのジャーナルとは異なり(会長便り第8号)、eLife誌では編集委員に報酬を与えるようにしています。

 

私たちのJBでも、論文原稿査読の方針や手順について考える必要があるかもしれません。

 

2014年10月

中西義信

第2回ヤマト科学賞

第2回ヤマト科学賞のお知らせ

応募締切:2014年10月31日(金)→ 11月28日(金)に延長されました。

詳細は下記URLをご覧ください。

http://www.yamato-net.co.jp/topics/2014/140901.htm

 

奨励賞、JB論文賞が決定しました.

平成26年度(2014年)奨励賞、JB論文賞 が決定しました.

 

 奨励賞

・西増 弘志 氏(東京大学)「立体構造から迫る酵素の作動機構」

・鈴木 淳 氏(京都大学)「細胞膜リン脂質スクランブルの分子機構の解明」

・鈴木 洋 氏(東京大学)「マイクロRNA の生合成と遺伝子発現調節機構に関する研究」

・生沼 泉 氏(京都大学)「神経軸索ガイダンス分子セマフォリンの情報伝達機構」

・佐伯 泰 氏(東京都医学総合研究所)「プロテアソームの分子集合と動態に関する研究」

 

JB論文賞

  • Tran Thanh Tung, Kaz Nagaosa, Yu Fujita, Asana Kita, Hiroki Mori, Ryo Okada, Saori Nonaka and Yoshinobu Nakanishi
    「Phosphatidylserine recognition and induction of apoptotic cell clearance by Drosophila engulfment receptor Draper」

  • Zahra Zendeh-boodi, Takaharu Yamamoto, Hiroshi Sakane and Kazuma Tanaka
    「Identification of a second amphipathic lipid-packing sensor-like motif that contributes to Gcs1p function in the early endosome-to-TGN pathway」

  • Hajime Kimura, Yasutoshi Shimooka, Jun-ichi Nishikawa, Osamu Miura, Shigeru Sugiyama, Shuji Yamada and Takashi Ohyama
    「The genome folding mechanism in yeast」

  • Takatoshi Ohkuri, Eri Murase, Shu-Lan Sun, Jun Sugitani and Tadashi Ueda
    「Characterization of deamidation at Asn138 in L-chain of recombinant humanized Fab expressed from Pichia pastoris」

  • Yusuke Nomura, Yoichiro Tanaka, Jun-ichi Fukunaga, Kazuya Fujiwara, Manabu Chiba, Hiroaki Iibuchi, Taku Tanaka, Yoshikazu Nakamura, Gota Kawai, Tomoko Kozu and Taiichi Sakamoto
    「Solution structure of a DNA mimicking motif of an RNA aptamer against transcription factor AML1 Runt domain」

  • Norihiro Takekawa, Takashi Terauchi, Yusuke V. Morimoto, Tohru Minamino, Chien-Jung Lo, Seiji Kojima and Michio Homma
    「Na+ conductivity of the Na+-driven flagellar motor complex composed of unplugged wild-type or mutant PomB with PomA」

 

今までの受賞者はこちらから https://www.jbsoc.or.jp/support(本学会の賞/助成)

柿内三郎記念賞、柿内三郎記念奨励研究賞が決定しました.

平成26年度(2014年)柿内三郎賞、柿内三郎記念奨励研究賞が決定しました.

 

第9回柿内三郎記念賞

吉森 保 氏(大阪大学)「オートファジーの膜動態の分子機構とその破綻による病態の解明」

 

第11回柿内三郎記念奨励研究賞

石谷 太 氏(九州大学)「組織構築を支えるWnt シグナル調整機構の解析」

多胡めぐみ 氏(慶応義塾大学)「定量的リン酸化プロテオミクスによる慢性骨髄増殖性腫瘍の発症機構の解析」

 

今までの受賞者はこちらから https://www.jbsoc.or.jp/support(本学会の賞/助成)

 

公益財団法人山田科学振興財団2015年度研究援助

公益財団法人山田科学振興財団2015年度研究援助 のご案内

援助対象期間:2015年9月から2017年3月の研究

応募期間:2014年10月1日(火)から2015年2月27日

※学会推薦が必要となります。(学会推薦締切:2015年1月27日)

詳細は山田科学振興財団のサイトをご覧ください。

http://www.yamadazaidan.jp/jigyo/index.html

 

三井物産環境基金2014年度研究助成

三井物産環境基金2014年度研究助成のお知らせ

応募締切:2014年11月10日(月)消印有効

詳細は下記URLをご覧ください。

https://www.mitsui.com/jp/ja/csr/contribution/fund/application/recruitment2014_2.html

独立行政法人海洋研究開発機構 大型研究航海 計画作成ワークショップ

独立行政法人海洋研究開発機構

大型研究航海 計画作成ワークショップ

日程:平成26年11月6日(木)から7日(金)

場所:(独)海洋研究開発機構 横浜研究所 三好記念講堂 他

(神奈川県横浜市金沢区昭和町3173番25)電話:045-778-3811(代)

【問い合わせ先】独立行政法人海洋研究開発機構

運行管理部 計画グループ 電話:046-867-9865  E-mail:riyo-kobo(at)jamstec.go.jp ※(at)は@

天野エンザイム(株)第16回酵素応用シンポジウム研究奨励賞

天野エンザイム(株)第16回酵素応用シンポジウム研究奨励賞のお知らせ

応募期間:2014年10月1日(水)から11月28日(金)

詳細は下記URLをご覧ください。

http://www.amano-enzyme.co.jp/jp/company/kouso.html

公益財団法人医療科学研究所シンポジウム2014のご案内

公益財団法人医療科学研究所シンポジウム2014のご案内

URL:http://www.iken.org/topics/details/140731.html

【開催日時】  平成26年9月9日(火)13時30分~17時
【開催会場】  東京国際フォーラム ホールB5
         (東京都千代田区丸の内3丁目5番1号)
         ※ 入場無料
         ※ シンポジウムお申込みはこちらから
           ​https://www.iken.org/symposium/form.cgi

第17回大学女性協会守田科学研究奨励賞

第17回大学女性協会守田科学研究奨励賞のお知らせ

※PDFファイル(120KB)が開きます.

応募締切: 2014/11/21(金)必着

日本化学工業協会 第3期 新LRI 研究課題

日本化学工業協会 第3期 新LRI 研究課題募集のお知らせ

https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2014/08/lri_20140814.pdf

応募受付期間:2014年10月27日(月)~11月14日(金)

詳細は日本化学工業協会LRIのWEBサイトhttp://www.j-lri.org/ をご覧ください。

 

第7回HOPEミーティング

第7回HOPEミーティング のお知らせ

URL: http://www.jsps.go.jp/hope/index.html

会期:2015年3月1日(日)~3月5日(木)

(2月28日(土):参加者受付及びオリエンテーション)

開催地:東京都内(予定)

主催:独立行政法人日本学術振興会

 

 

2014年度(第6回)野口遵研究助成

2014年度(第6回)野口遵研究助成 のお知らせ

URL:http://www.noguchi.or.jp/

応募締切:2014年10月31日(金)

2015年度野田産研研究助成

2015年度 野田産研研究助成 のお知らせ

URL:http://www.nisr.or.jp/

応募期間:2014年10月1日から31日(必着)

会長便り第8号:Rubriq Scorecard

日本生化学会会員のみなさん、

 

 ジャーナルに投稿された論文原稿のpeer review(会長便り第7号)に関する課題について、今号では審査員にかかる負担を取り上げます。

 

論文審査を引き受けると、2週間ほどの間に原稿を査読してジャーナル編集部にその結果を報告しなければなりません。ひとつの原稿の査読には数時間ほどが費やされ、その間は本来の業務はできません。しかも、出版社はジャーナルを発行することで利益を得ているにもかかわらず、審査員には賃金が支払われません。多くの場合、編集委員長や編集委員も無料奉仕しています。

 

昨年のASBMBの会報誌に‘Reviewing is a business transaction’と題する記事が載りました(ASBMB Today, August 2013, page 16)。執筆者はトロント大学の教授で、投稿論文の審査は報酬をともなうべきだと主張しています。この人は年に300件ほどの審査にあたっていて、それに費やす時間を計算すると週の1~2日を占めることになるそうです。それなら審査を断ればよいのではとなりますが、“自分の論文の審査を最適の人が断った時のことを考えると”なかなかそうはできません。彼は、原稿あたり100~200ドルの報酬が相応で(市場経済的には400ドルに値するという分析もあります)、これを出版社または著者が負担するのがよいと言っています。著者が出版社に支払う論文掲載料(会長便り第3号)を考えると、この額はけっして法外ではありません。

 

私は通常のpeer reviewでの審査員が報酬を得る例を知りませんが、ジャーナルとは独立にpeer reviewを行って審査員に賃金を与える企業があります(Nature 494:1621)。Rubriq(http://www.rubriq.com/)という名称のこの組織は、“論文審査に要する時間と費用を軽減させる”ことを目的として2013年に設立されました。著者は、ジャーナルに投稿する前の原稿をRubriqに送って審査を受けます。料金は500~650ドルの範囲で、適用される作業項目の数によって異なります。基本作業は3名の審査員による査読で、Rubriq Scorecardとよばれる判定結果が2週間以内に著者に届きます。査読の形式はジャーナルが行う審査とほぼ同様で、原稿改訂の案も提示されます。650ドルのコースでは、基本作業に加えて「盗用」の有無が調べられ、さらに複数の投稿先ジャーナルの候補が「採択確率」の数値とともに示されます。なお、審査員は登録制で、学位を持ち大学や研究機関での常勤であれば誰でも応募できるようです。報酬は1件につき100ドルです。著者は、ジャーナルへ論文原稿を投稿する時にRubriq Scorecardを添付します。ジャーナル側が独自のpeer reviewを行う際にRubriqでの審査結果を参考にすることで、迅速に採否決定が導かれるという仕組みです。さらに、客観的に採択の可能性が高いとされたジャーナルが投稿先になる場合が多いため、投稿から採択までの時間が短縮されることが期待されます。

 

Rubriqによる「投稿前査読」がどのくらい利用され、論文採択にどの程度の効果を与えているかはまだ公表されていません。無報酬の仕事は責任感の欠落をまねく可能性があるため、私はpeer review業務に対する賃金は歓迎すべきことだと思います。

 

次号でも引き続きpeer reviewを扱い、その公平性について考えます。

 

2014年7月

中西義信

第7回(平成26年度)中谷賞

第7回(平成26年度)中谷賞 のお知らせ

URL:http://www.nakatani-foundation.jp/

応募期間:平成26年7月14日(月)から10月15日(水)

 

会長便り第7号:Peer Review

日本生化学会会員のみなさん、

 

 今号と次号とで、ジャーナルに投稿された論文原稿の審査にまつわる課題について考えます。今号では、その前提である論文審査過程の基本的な流れを確認します。

 

 論文原稿がジャーナルの編集部(editorial office)に届くと、編集委員長(editor-in-chief)が審査統括にあたる編集委員(editor)を研究の専門領域などに基づいて割り振ります。多くのジャーナルでは、まず編集委員長と編集委員とで原稿を詳細な審査(in-depth review)に供するかどうかを判定します。それに値しないとされれば、この時点で掲載が拒否されます。詳細な審査に移行する時には、ジャーナルの常任審査員会(editorial board)のメンバーやそれ以外の研究者から編集委員が2~3名の審査員(reviewer)を選びます。審査員は当該論文の内容に通じた研究者である場合が多いことから、この審査形態はピアレビュー(peer review、専門家仲間による審査)とよばれます。

 

 論文審査の依頼は、担当の編集委員から電子メールなどで届けられます。依頼文には論文原稿の要約部分が添えられています。依頼を断る時には、その理由を示し(研究領域が異なり適切な審査ができない、著者は共同研究者であり公平性が保たれない、など)、多くの場合、代わりの審査員候補を推薦します。審査員を引き受けると、審査用のウェブサイトから原稿全体をダウンロードできるようになり、それを受け取って査読を行います。審査期間は2週間ほどに設定されているジャーナルが多いですが、より短く10日以内としているものもあります。ウェブサイト上で行う審査結果の報告では、著者に通知される論文内容の評価に加えて、採択の可否や論文体裁の適切さについての意見が求められる場合が多く、編集委員への伝言もできます。「論文内容の評価」(reviewer’s comments to authors)では実験結果の不足や解釈の誤りなどを伝えます。「採択の可否」の判定には採択(accept)・改訂(revision)・却下(reject)のいずれかを提示し、さらに改訂が軽微(minor)と大幅(major)に分けられているジャーナルもあります。審査の最終判定は編集委員に委ねられますが、実際には“参考意見”を求められる場合が多いです。「編集委員への伝言」(confidential comments to editor)には、“すぐれた研究成果なのですぐに採択すべき”や“研究課題が当該ジャーナルにそぐわない”などの意見を書きます。これらに加えて、原稿の長さ、文章のわかりやすさ、統計処理の適切さ、採択された場合に宣伝に値するか、などへの意見を述べます。審査員は匿名が原則ですが、著者に氏名を伝えるかどうかを選べるジャーナルもあります。

 

編集委員は審査員の意見に基づいて最終判定を下し、各審査員による「論文内容の評価」とともに責任著者(corresponding author)に通知します。責任著者はほかの著者に結果を知らせ、採択判定以外の時には対応を考えます。初回の審査では、“追加実験の結果を盛り込んで原稿を改訂すればもう一度審査する”という判定が多く見られます。そして、これに沿って書き直された“改訂稿”(revised manuscript)が、審査員意見への著者の返答(authors’ response to reviewers’ comments)とともに再投稿されます。著者はこの時に、審査員評価への反論(rebuttal)を編集委員に伝えることもできます。原稿修正の期間はジャーナルごとに定められていますが(多くは3ヶ月ほど)、適切な理由があると認められればそれを越えることが許されます。改訂稿は、原則として同じ審査員により二度目の査読を受けます。この作業を繰返して(改訂回数が定められているジャーナルもあります)、論文がジャーナルに掲載されるかどうかが決まります。

 

次号ではピアレビューにおける問題点について考えます。

 

2014年6月

中西義信

男女共同参画学協会連絡会 第12期 シンポジウム 

男女共同参画学協会連絡会 第12期 シンポジウム のお知らせ
日  時:平成26年10月4日(土)10:00〜
場  所:東京大学 駒場キャンパス 大学院数理科学研究科棟

 

 

会長便り第6号:Reproducibility Initiative

日本生化学会会員のみなさん、

 

 今号では、学術論文にかかわる不正とはどんなことを意味するのか、そしてそれをなくすことが可能なのかを考えます。

 

学術論文での科学上の不正(scientific misconduct, scientific fraud)は、ねつ造(fabrication)、改ざん(falsification)、盗用(plagiarism)の3種類に分類されます。許容範囲を越えた“データの加工”と“既存記述の再使用”は、それぞれ改ざんと盗用にあたります。なお、自分のデータや記述を複数の論文で使うことは自己盗用(self-plagiarism)とされます。論文のねつ造については、研究自体が完全な作り話だった「Mark Spector氏によるATPaseの実験」が有名です。1980年代の初めに、“ATPaseの活性化に関わるタンパク質リン酸化カスケード”を報じる複数の論文がごく短期間のうちにJ. Biol. Chem.に掲載されました。当時大学院生であった私は、その論旨とデータの明快さに感心したことを記憶します。

大学を含む研究機関に対して、論文不正を防ぐ手段を講じるよう国が強く指導しています。そのひとつが、“コピー&ペースト”の存在を調べるコンピューターアプリケーションの導入です。これを使うと、調査対象論文に占める既存記述の割合がたちどころに算出されます。しかし、その数値に基づいて「不正」の有無を判定することは難しく、効果のほどはまだわかりません。なお、私たちのJBでも投稿された論文原稿の審査にあたりこの作業がすでに実施されています。国からの不正防止の指導は教育面にも及び、Collaborative Institutional Training Initiative(CITI)などの教育プログラムを使う授業の実施が推奨されています。CITIは医療倫理を学ぶ教材を開発し提供する機関として2000年に米国で組織されたもので、その後に対象が研究全般に広げられました。2013年にはCITI Japan Program(http://www.jusmec.org/defaultjapan.asp?language=japanese)が設立され、この組織が提供するeラーニング教材を使って研究倫理の授業を行う大学が増えています。

 

学術論文には、上記の「不正」とは別に“実験結果の再現性”という課題があります。ある期間に発表された生物医学分野の論文を調べてみると、結果が再現されたものは1割ほどに過ぎなかったという報告があります。論文として公にされる実験結果は、著者によって再現性が確認されているはずです。しかし、ほとんどの場合、それは著者が所属する研究室内で繰返し得られた結果であることを意味し、必ずしも他の研究者による再現実験が実施されている訳ではありません。真の意味での再現性を保証するためには、投稿前に第三者が追試実験を行う必要があります。これを実現するために、Reproducibility Initiative(http://validation.scienceexchange.com/#/reproducibility-initiative)が2012年に米国で設立されています(Science 337:1031)。この組織は、論文原稿の著者から追試実験が依頼されると、その実施を“advisory board”メンバーの所属研究機関に委託します。実験結果が再現されれば「認定証」が与えられ、さらに創業当時にはほぼ無条件でPLoS ONEに掲載されることになっていました(現在は少し事情が異なるようです)。もちろんこれには費用がかかり、当初では、その研究全体に要した額の1割を著者が支払うと説明されていました。この仕組みがうまく働けば再現性の問題は解決されるのでしょうが、費用だけでなく、研究成果が漏洩される可能性や発表時期が遅れてしまうという課題もあります。今のところ、このような煩雑なステップを投稿条件に盛り込むジャーナルは出てきていないようです。

 

実験科学の学術論文が成り立つ最低要件は、「適切な実験手法」、「結果の再現性」、「正当な結果提示」、及び「適切な結果分析」です。論文原稿を審査する過程でも、これらのすべてが満たされていることを判定するのは容易ではありません。ましてや、“偽りの記述”を見抜くのは至難の業です。さらに、上述した対策にも限界があるでしょう。学術論文の不正防止は、研究を実施して論文を発表する者自身の倫理感を高めることにつきると思われます。

 

次号ではジャーナルに投稿された論文原稿の審査について考えます。

 

2014年5月

中西義信

 

JBS掲示板を開設しました。

日本生化学会の会員のみなさん、

予告していた掲示板ができあがりました。名称は「JBS掲示板」です。どうかたくさん使ってみてください。

https://www.jbsoc.or.jp/forum/forum.php

学会ウェブサイトのトップページの左側にバナーがあり、それをクリックすると掲示板に導かれます。
記事の閲覧はオープン、投稿は会員限定です。記事を投稿するには会員番号とパスワードの入力が
必要です。

当面は記事の内容による掲載制限は行いませんが、個人や団体への誹謗や中傷であることが
明らかな投稿は事務局で削除します。

前にもお伝えしましたが、“生化学会のDORAへの署名”についてみなさんの考えを知りたいと思います。
これについて私からの投稿がありましたら、おおいに意見をお寄せください。
なお、意見くださる時には、私の記事へ「返信」するか、あるいは「DORAへの署名」をタイトルとする
新しい記事を投稿してください。

中西義信 


 

会長便り第5号:Sham journal

日本生化学会会員のみなさん、

 

今号と次号では学術論文にまつわる種々の問題を取り上げます。

 

ジャーナルに投稿した論文が採択されて刊行された後でも、著者はその内容の一部を変更することができます。ただしこれは、その変更が論文の結論に影響しない場合に限られます。文字や数値の修正、図表の微細な変更、著者情報の訂正、などがその例です。著者がジャーナル編集部に依頼して承認されれば、変更内容が“erratum”や“corrigendum”としてジャーナルに掲載されます。一方、結論が変わってしまうような大きな誤りが判明した時には論文内容の変更では済まず、多くの場合は論文そのものが取り下げられます(retraction)。撤回された論文は存在しなかったものとされ、その論文に基づいて授与された学位があればそれも取り消されることになります。2013年には、世界中で発表された約100万篇の論文のうち500篇ほどが撤回されたそうです(Retraction Watchというウェブサイトには論文の撤回や訂正に関する記事が載っています)。論文の撤回はそのジャーナルで公知され、それに至った経緯などが説明されます。撤回された論文の著者は信用を失うことになりますが、誠実に対処することでそれを最小限に留めることができるようです(Nature 507:389)。なお、論文撤回の原因がなんらかの科学的不正による場合は、著者は所属機関や学協会から制裁を受けることもあります。ちなみに、変更や撤回の記事には対象論文が引用されるため、そのたびに当該ジャーナルのImpact Factor値が大きくなります。 

 

また一方、近年では学術論文にまつわる構造的な不正が問題視されており、そのいくつかを紹介します。まず論文著者の売買です。昨年11月に、論文著者の売買を行う企業(組織)があると報じられました(China’s publication bazaar. Science 342:1035)。その仕組みとは、ジャーナルに採択された論文原稿を買い取り、筆頭著者や責任著者の「権利」を売るというものです。「料金」は、co-first authorco-corresponding authorのどちらかひとつで15,000 USドル、両方では「割引」が適用されるらしく25,000 USドルほどだそうです。このようにして、研究にまったく携わっていない新たな「著者」が追加された論文が発表されるのです。次の例は、偽のジャーナルウェブサイトの存在です。昨年3月に、実在するジャーナル名を語る架空サイトから投稿/掲載料をだまし取られる事件が報じられています(Sham journals scam authors. Nature 495:421)。利用されたジャーナルはウェブサイトを持っておらず、‘料金を払ったのに論文がまだ掲載されていない’という編集長への問合せが多発して発覚に至ったそうです。最後に紹介するのは、営利目的第一のオープンアクセスジャーナルです。今年の1月に、ウェブサイトScholarly Open Accessに“List of predatory publishers”というタイトルの記事が載りました。そこには、投稿/掲載料を払い込ませることを主たる目的とするとみられる出版社やジャーナルの名称が記されています。その数は477にのぼり、年々増加しているそうです。この記事の執筆者は、これらのジャーナルについて論文原稿の投稿、編集委員等への就任、論文の審査などを行わないようにとよびかけています。 

 

このように、学術論文の存在自体を揺るがしかねないさまざまな問題が存在しています。次号では“論文における不正をなくする手だて”を考えます。 

 

20144

中西義信

国立環境研究所公開シンポジウム2014(奈良) 

国立環境研究所 公開シンポジウム 2014 開催のご案内

http://www.nies.go.jp/event/sympo/2014/index.html

テーマ:低炭素社会に向けて-温室効果ガス削減の取り組みと私たちの未来-

開催日・場所: 東京会場 2014年6月13日(金)12時から17時30分

        メルパルクホール(東京都港区芝公園2-5-20)

        奈良会場 2014年6月27日(金)12時から17時30分

        奈良県新公会堂(奈良県奈良市春日野町101)

 

国立環境研究所公開シンポジウム2014(東京) 

国立環境研究所 公開シンポジウム 2014 開催のご案内

https://www.nies.go.jp/event/sympo/2014/index.html

テーマ:低炭素社会に向けて-温室効果ガス削減の取り組みと私たちの未来-

開催日・場所: 東京会場 2014年6月13日(金)12時から17時30分

        メルパルクホール(東京都港区芝公園2-5-20)

        奈良会場 2014年6月27日(金)12時から17時30分

        奈良県新公会堂(奈良県奈良市春日野町101)

 

生化学研究の道を歩んで~心に残る出会いと言葉神戸大学大学院 医学研究科
金川 基

奨励賞2013-5「生化学って面白い」と思ったのは、学部での生化学実習の時です。生体試料からタンパクを精製し、その酵素学的な特徴をひとつひとつ調べあげる実験が、ゲル上でCBBに染まっているにすぎなかったタンパクに生命的な息吹(=個性)を与えるような感覚を覚えました。教科書に書かれている酵素反応論が一気に身近に感じられた瞬間でした。このようなドラマチックな出会いがあったおかげか、今日まで20年近く生化学研究に携わっています。私は大学院時代、谷口和弥先生から、タンパク質リン酸化によるP型ATPaseの調節機構に関するテーマをいただき、リン酸化酵素の同定やリン酸化の生理的意義の解明に挑戦しました。ナイーブな膜型酵素の精製に苦心しましたが、諸先生・諸先輩の温かいご指導のおかげもあって、粘り強く実験できたことが、その後の研究人生の土台になったと思います。学位取得後は、筋ジストロフィー研究の世界的リーダーのひとり、キャンベル博士の下に留学しました。留学開始当初、英語も満足に話せなかった私はひとり、定量的タンパク結合実験系の構築に取り組んでいました。そんな折、ひとりの同僚がその実験系を取り入れ、ある病型の筋ジストロフィーでは、ジストログリカンの糖鎖修飾に異常がみられ、リガンド結合活性が低下しているというデータをだしたのです。糖鎖異常型筋ジストロフィー研究のさきがけとなる論文に、留学開始早々に立ち上げた生化学実験系が用いられたことは今でも幸運に、そして誇りに思います。それ以来、私は糖鎖異常型筋ジストロフィーの研究に入りこんでいくのですが、私の心に残る師の言葉があります。この場をおかりして、その言葉を紹介したく思います。ひとつは、”You are not a homerun batter, but I like your style aiming at a sure hit. Four hits equal a homerun and still keep a chance”。もうひとつは、”Only CNS papers (= homerun) help your carrier, so I want to help you guys”。ヒットとホームラン、どちらがお好みでしょうか・・・?この二つの言葉は相反する意味ではありますが、事ある度に思い出しては、自身の研究を見つめ直し、そして気を新たにする言葉です。私は現在、糖鎖修飾の生理的・病的な意義の解明とトランスレーショナル研究への発展を目標に疾患研究・治療研究に携わっていますが、これからも愛すべき生化学をベースとした研究の道を歩み拓いていきたいと思います。ホームランバッターではない私が今日まで研究を続けてこられたのも、よき指導者の先生や共同研究者の先生、同世代の研究仲間達、そして、優れた同僚に恵まれたお陰です。心から感謝しています。最後に、大学院時代の師、谷口先生がいつも私たちにくださる言葉を紹介したく思います。「良い仕事をすれば、どこかで誰かが見ていてくれる」。この言葉に励まされ、また、今日一日の研究を大事にしようという気持ちと生化学道を歩み続ける勇気が湧きあがってきます。

金川 基 氏 略歴

2001年    北海道大学大学院理学研究科化学専攻博士後期課程修了(生物化学:谷口和弥教授)
      同年ハワードヒューズ医学研究所/アイオワ大学医学部博士研究員(Kevin Campbell教授)
2006年 大阪大学大学院医学系研究科(戸田達史教授)
2009年 神戸大学大学院医学研究科助教(戸田達史教授)
2011年より現職

ニッチを知り、ニッチをつくる。慶應義塾大学医学部 / 国立国際医療研究センター研究所
田久保圭誉

奨励賞2013-4

 医学部医学科の学部教育カリキュラムにはそれほどきっちりとした研究に携わる教育プログラムは組み込まれていないため、研究に興味を持っている学生は自然とカリキュラム外で研究室に出入りするという行動に出ることが多いと思います。私もそうした一人で、医学部の学生時代に病理学教室で血管内皮細胞の低酸素応答についての研究に携わっていました。直接指導していただいた池田栄二先生からは、新しく系を作って、そこから得られたデータを一つ一つ吟味しながら進めていくことの楽しさと厳しさを教えていただくことができました。卒後は臨床研修することなしに直接研究者になりたいと考えて、当時熊本大学から慶應に赴任されたばかりの須田年生教授の研究室の門をたたくことにしました。
 研究室が注目している造血幹細胞は全ての血球細胞をつくるおおもとになる細胞です。哺乳類の体内では骨の中、骨髄に造血幹細胞は棲んでいて、周囲の微小環境(ニッチ)にあるニッチ細胞といわれる細胞からサイトカインやケモカインなどの様々なシグナルを受け取ることで維持されています。前駆細胞に比べると造血幹細胞は細胞周期に入っている分画が少なく、G0期(静止期)にある期間が非常に長いことが知られており、この特性を維持することが造血幹細胞ニッチの重要な機能であると考えられています。こうしたニッチがある骨髄の環境は他の臓器に比べると低酸素環境であると昔から想像されていました。私は、そうした環境にある造血幹細胞が低酸素応答のマスターレギュレーターの1つである転写因子HIF-1aの安定化を介して、細胞周期の静止期性と低酸素環境に適した解糖系メインのエネルギー代謝特性をそれぞれ保持していることを見出しました。つまり、低酸素環境という息苦しそうな環境であっても幹細胞にとっては好ましいニッチになるということになります。造血幹細胞の機能解析では連続骨髄移植実験による幹細胞活性の評価が必須です。セルソーターで単離した少数の造血幹細胞をレシピエントマウスに1次移植、2次移植、あるいはそれ以上の回数の移植を行い、それぞれ4か月ずつかかる解析を淡々と進めていくことになります。はじめは実験手技が安定せず、数か月待ってもまるでデータが得られない息の詰まるような時期を過ごしました。しかし、徐々に手技的に安定していくにつれ、仮説を裏打ちするデータが得られて、解析が順調に進行していくようになりました。
 気が付くと学部学生時代から十数年間ずっと細胞の低酸素応答にかかわる研究を続けることができていますが、それもサポートしてくれるニッチとなる研究室の環境があってこそであったと思います。自分も縁あって独立してニッチを作りはじめることになりましたが、一緒に研究する人が次のステップへ進めるようなニッチを準備していきたいと考えています。

田久保 圭誉 氏 略歴

平成15年3月  慶應義塾大学医学部卒業
平成19年3月  同大学院医学研究科修了 博士(医学)
日本学術振興会特別研究員、慶應義塾大学医学部助教を経て
平成23年12月より 慶應義塾大学医学部専任講師
平成26年4月より   国立国際医療研究センター研究所プロジェクト長(兼任)

感性を刺激するもの東京工業大学 フロンティア研究機構
中戸川 仁

奨励賞2013-3  大学院生に向けて、とのことでしたので、在り来たりな話題にはなりますが、研究テーマを決める際の一助になればと、私の経験を書かせていただくことに致します。
 私は学部生の時、ワトソンの「遺伝子の分子生物学」(赤と緑の上下巻の第4版です)を読む機会を得ました。メンデルの時代の話に始まり、生体高分子の化学的性質等、基本的な事柄が続き、DNAの複製、転写へと進みます。ここまでもとても面白く読むことができました。しかし、遺伝暗号の翻訳のメカニズムの詳説に入った時、それまでとは違う大きな衝撃を受けました。巧くできすぎてる!長年の進化の過程を経たとはいえ、偶然の積み重ねでこんなものができあがるなんて信じられない!と図書館で教科書を前に独り興奮したことを今でも思い出します。しかしながら、当時の私は、生命科学全般に漠然とした面白さを感じており、将来どういった研究に取り組みたいかについて明確な考えは持っていませんでした。大学院は大腸菌のタンパク質分泌機構を研究されていた京都大学の伊藤維昭先生(現 京都産業大学)の研究室に進みました。物質の透過障壁として細胞の自己を規定する生体膜を巨大なタンパク質分子が如何にして通り抜けるのか、という基本的な問題に魅せられ、研究を開始しました。伊藤先生、当時助手の森博幸先生、秋山芳展先生の御指導の下、研究は思いがけない方向へ大きく発展しました。研究が面白くて仕方なく、思い切り没頭しました。次から次へとアイデアが浮かび、それを検証するための実験を考え、次々と新しいことが明らかになっていきました。その中で、今日の私を支える多くのことを学ぶことができました。
 このような経験を振り返り、幸運だったと思うことの1つは、取り組んだテーマが私の感性を大いに刺激するようなものであったことです。テーマ選び(研究室選び)の時には意識できていなかったのですが、生命現象を支える精巧なメカニズムを解き明かすことが研究における私の最大の関心事であり、実際に取り組んだテーマがこれに嵌まったのでした。そして、学部生の時に興奮を覚えた教科書の一項目はそれに通ずるものであったことに後になって気が付きました。何かを知り、(単なる面白さを越えて)感性が刺激されると、知ったことのその先に自然と様々に考えが及び、また新たな疑問も生じるものです。これは言うまでもなく、研究を進める上での重要なプロセスです。また、そのようなテーマに取り組むことで、自身の様々な力が鍛えられていくように感じました。
 学位取得後、オートファジー研究のメッカともいえる大隅良典先生の研究室に加えていただきました。オートファジーの研究テーマには、生理機能から分子機構まで幅広い選択肢がありましたが、その時には、自分の感性は分子機構の研究でこそ良く働くと感じていたので、迷わずそのようなテーマを選びました(生理機能や疾患との関連の研究が華々しく展開されていますが、オートファジーは未解明かつ魅力的なメカニズムの宝庫でもあります)。大隅先生は勿論、多くの方からご助力をいただき、御陰様で良い成果が得られ、昨年は本会の奨励賞という栄誉ある賞をいただくことができました。
 数年前、大隅先生が研究室の学生さんに向けて、次のようなことを仰いました。若いうちに、自分が本当に面白いと思う論文を見つけなさい、そして(安易に流行を追ったり、役に立つかという観点でなく)自分がその論文のどこに惹かれたのかを大事にして研究テーマを選ぶと良い。大隅先生のこの御言葉は、上のような私が幸運に恵まれてできた経験を、自分の力でたぐり寄せるための具体的な助言だと思いました。教科書や論文だけでなく、色々な研究者の講演でも良いと思います。若いうちに色々な研究に触れる機会を持ち、どういった研究が自分の感性を刺激するのかを見出し、それに合ったテーマを選ぶことが、良い研究、自分にしかできない研究につながっていくように思います。

中戸川 仁 氏   略歴
2002年    京都大学大学院 理学研究科 博士課程修了
2002年    日本学術振興会 特別研究員(PD)
2005年    基礎生物学研究所 助手/助教
2006-2010年 科学技術振興機構 さきがけ研究者(兼任)
2009年    東京工業大学 フロンティア研究機構 特任助教
2011年-現在 同所属 特任准教授

四十にして惑わず奈良先端科学技術大学院大学
末次 志郎

奨励賞2013-2この度は、名誉ある日本生化学会奨励賞を頂き身に余る光栄でうれしさをかみしめています。
大学入学当時、何となく研究者、あるいは、学問を志していた私は、細胞の形態形成を学ぼうと、当時東大医科研にあった竹縄忠臣研究室の門をたたきました。そこでは、現大阪大学の三木裕明先生らにより、シグナル伝達が細胞のアクチンをどうやって動かす仕組みがつまびらかにされるところでした。次いで、アクチンの制御タンパク質の研究から、脂質膜の形状をつかさどる「鋳型」となると考えられるBARドメインを持つタンパク質群の同定に至りました。考えてみれば、細胞の形状というのは、アクチンなどのタンパク質が重要な役割を果たすことは明らかなのですが、その本質は、脂質膜の形状です。しかし、タンパク質や遺伝子ばかりに目が向き、脂質膜の重要性は、なかなかすぐに頭に思い浮かぶ物ではありませんでした。幸いなことに、理化学研究所の嶋田睦先生、村山和隆先生、横山茂之先生らの協力で、BAR ドメインタンパク質の立体構造の解明に成功し、その結果、タンパク質の立体構造を脂質膜の「鋳型」として用いることで、細胞の形態形成が行われることを示すことができました。このタンパク質の立体構造による形態形成というあたらしい概念は、様々な分野を統合して初めて可能で有り、とても私一人の力ではできない研究でした。このような経験から、現在もなるべく新しい技術を取り入れ、分野横断的な研究をできるように心がけていますが、反面、いろいろな分野を包括した研究は難しく、ともすれば散漫になりがちです。論語には「三十にして立つ。四十にして惑わず。」とありますが、私も2014年には40才になります。惑わずに、明確な見通しと方法論を持って自分の研究を切り拓いていきたいと考えています。細胞の分化と形態変化は密接な関係にありますが、それはやはり原因ではなく結果なのでしょうか?細胞の形態形成は本当に細胞の分化や脱分化にとって必要不可欠な意味があるのでしょうか?あるいは、がん化において、細胞は必ず形態変化を伴う必要はあるのでしょうか?これをうまく解決可能な問題に、願わくば、BARドメインを持つタンパク質の制御、アクチン細胞骨格の制御系、あるいは、BARドメインタンパク質の分子集合などの問題に落とし込み、解明していきたいと考えています。これからも皆様のお力添えをどうぞよろしくお願い致します。

末次 志郎 氏 略歴
1999年4月~2002年3月  日本学術振興会特別研究員(DC1) (竹縄忠臣 教授)
2002年4月~2006年12月 東京大学医科学研究所 腫瘍分子医学分野 助手(竹縄忠臣 教授)
2006年10月~2010年3月 科学技術振興機構さきがけ研究者
                                         (生命システムの動作原理と基盤技術、中西重忠研究総括)(兼任)
2007年1月~2009年6月  東京大学分子細胞生物学研究所 若手フロンティア研究プログラム 講師 
2009年7月~2014年1月  東京大学分子細胞生物学研究所 細胞形態研究分野  准教授
2014年2月〜         奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 分子医学細胞生物学 教授

酵素の声に耳を傾けなさい名古屋大学 細胞生理学研究センター
阿部一啓

奨励賞2013-1私が胃プロトンポンプの研究をする契機となったのは、北海道大学在学時、恩師である谷口和弥先生と出会いでした。谷口先生はナトリウムポンプが専門で、イオン能動輸送の重要性とダイナミックな構造変化の熱心なお話しを伺ううちに、当時化学を学んでいた私は、進化淘汰圧が生み出した生体分子の複雑さと驚異的にパワフルで効率的なマシーナリーの作動機構を理解したいと思うようになりました。谷口研で研究を始めるときには、何事も極端なことを好む性分によって、研究分野の主流であったナトリウムポンプではなく、胃の内部をpH1(細胞内部はpH7なので、内外でのH+濃度差は100万倍)にまで酸性化できる胃プロトンポンプ H+,K+-ATPaseを研究対象と定めました。当時は機能解析が中心で、RIに籠って実験をしては、谷口先生始めスタッフの先生、研究室の先輩(今回奨励賞を受賞された金川さん)と結果の解釈をディスカッションする日々が続きました。谷口先生は一介の大学院生である私を、一人の科学者として扱ってくださいました。これは良い面だけではなく、実験が不十分な場合には納得がいくまでとことん議論することも多くありました。『Your enzyme would like to talk to you, why you close your ears?』というのが先生の教えで(留学先でPost博士が仰ったそうです)、実験データは非常に細かく分析してどんな些細なことも見落とさないように叩きこまれました。P型ATPaseの分野では当時、豊島先生によって筋小胞体カルシウムポンプの立体構造が次々と決定され、これまでマンガで描かれていたポンプが実体として理解されるようになってきました。北大での学位取得後、酵素の声を聞くだけでは飽き足らず姿を見てみたくなった私は、膜タンパク質の構造解析で第一線の研究者である当時京大の藤吉教授に、H+,K+-ATPaseの構造解析に取り掛かりたい旨をご相談しました。藤吉さんは、構造解析など全く知らない、どこの馬の骨とも分からぬ私を快く受け入れてくださり、十分すぎるほどサポートして下さいました。一緒に結晶化に取り組んでくれた西澤君、構造解析を一から教えてくれた谷さん、電子顕微鏡の使い方を叩き込んでくれた小林さん始め、研究室のメンバーとの協力関係が、H+,K+-ATPaseの電子線結晶構造解析には不可欠でした。また構造解析と組み合わせることで、酵素の声を聴く機能解析実験はその威力を発揮してくれました。

この度、日本生化学会奨励賞という分不相応な大変名誉ある賞を頂けたのは、上述した多くの恩師、先輩、同僚のお陰です。振り返ってみると自分は一体何をしたのか?と思うばかりですので、振り返るのはやめます。今後もH+,K+-ATPaseの声に耳を傾け、その姿を露わにし、その作動機構を詳らかに理解する為に、あらゆる手段を用いてこれに取り組んでいきたい所存です。

阿部 一啓 氏   略歴
2003年   日本学術振興会特別研究員 (DC2)
2004年   北海道大学大学院理学研究科 博士後期課程 修了 博士(理学)
2004年   京都大学大学院理学研究科 生物物理学教室 藤吉研究室
                 日本学術振興会特別研究員 (PD)
2008年   バイオ産業情報化コンソーシアム研究員
2010年   京都大学特定研究員 (産官学連携)
2011年   名古屋大学 細胞生理学研究センター 助教
              (兼務同学創薬科学研究科)

日本医学会特別シンポジウム

日本医学会特別シンポジウム

~第29回日本医学会総会2015関西プレイベント~

http://jams.med.or.jp/symposium/index.html

大阪大学総合学術博物館第7回特別展

大阪大学総合学術博物館第7回特別展

漢方今昔物語 生薬国産化のキーテクノロジー

http://www.museum.osaka-u.ac.jp/

(独)理化学研究所和光地区一般公開

(独)理化学研究所和光地区一般公開

平成26年4月19日(土)9:30 から 16:30(入場は16:00まで)

開催場所:埼玉県和光市広沢2-1 (独)理化学研究所和光地区

電話:048-467-9443

ホームページ:http://www.riken.jp

 

 

会長便り第4号:Negative data論文

日本生化学会会員のみなさん、

 

前号に引き続き、学術雑誌(ジャーナル)の形態の移り変わりについて考えます。ここでは、新しい編集方針を持つ三種類のジャーナルを取り上げます。

 

最初は、“publish first, judge later”をうたうPLoS ONEについてです。これは前号で紹介したPLOS journalsのひとつで、2007年に創刊された電子版のみのopen accessジャーナルです。このジャーナルの特徴は投稿された論文原稿の採択基準(Publication Criteria)にあり、審査員は「研究成果の重要性」は考慮せずに「方法論の正当性」のみを判定します。つまり、標準的な手法で実験操作と結果の解析が行われ、妥当な解釈に基づいた結論が記述されてさえいれば、論文原稿が採択されます。そして、論文内容の評価は掲載後に読者によってくだされるのです。ウェブ上で論文ファイルを開くと上部に「Comments」のバナーがあり、そこからコメント欄に入って意見を書き込むことができます。創刊時の編集者は“このジャーナルでは論文掲載は研究の終点ではなくディスカッションの開始点である”と述べています。掲載後の論文の内容や意義がウェブ上で盛んに議論されるのであれば、このような編集方針のジャーナルは存在価値を持つのかもしれません。

 

二つ目は、ネガティブデータを記述した論文を掲載するジャーナルの登場です。ここでのネガティブデータとは、“適正に実施された実験において作業仮説が否定されることが判明した”場合などの結果を指します。ネガティブデータの公表は他の研究者による不必要な実験を省くとともに定説の覆しに寄与することにあるという考え方のもとに、複数のジャーナルが創刊されています。それらにはJournal of Negative Results in BiomedicineThe All-Results Journals: BiolJournal of Pharmaceutical Negative Resultsなど生化学関連分野のものが含まれ、編集方針に基づけば前出のPLoS ONEもこの仲間に入ります。

 

最後は、投稿前の論文原稿を載せるジャーナルです(serverと称されているのでジャーナルに含めるのは適切でないかもしれません)。物理学の分野に、1991年に開設されたarXiv(アーカイブ)というopen accessのサーバーがあります。これは「preprint server」とよばれ、研究者は作成した論文原稿をまずこのサーバーに登録(掲示)します。すると、その内容についてウェブ上で読者による議論が行われ、著者は出された意見などに基づいて原稿を改訂してゆきます。ある物理学者のウェブサイトには、“まずarXivに登録してその後にジャーナルに投稿することが一般的”と書かれています。多くの出版社はarXivでの論文原稿の掲示を「出版」とはみなさいため、著者は議論を踏まえて最終化された原稿をジャーナルへ投稿することができるのです。arXivには毎月5000にのぼる原稿が新しく登録されているそうです。物理学の分野では、解決されるべき課題が限定されており、かつ純粋に研究内容だけが評価の対象とされるため、このような研究成果公表のやり方が可能なのかもしれません。そして、生命科学分野でも同じような仕組みとして、Cold Spring Harbor Laboratoryが運営するbioRxiv(バイオアーカイブ)が201311月に登場しました。このサーバーに登録された論文原稿はまだ多くないようですが、将来はこれがarXivのような役割を担い、生命科学の分野でも論文原稿の「bioRxivへの登録→ウェブ上での議論→改訂→一般ジャーナルへの投稿」が通常のプロセスになるかもしれません。

 

このようなジャーナル形態の移り変わりを俯瞰すると、研究成果公表のあり方が“実験データをウェブサーバーにデポジット(登録)する”方向に進んでいるように感じられます。今のところは、新しい形態(編集方針)のジャーナルもデータに基づく結論を著者が主張する形式をとっています。しかし将来は、“個々の研究者はデータを登録するだけ”で、別の人たちがそのデータを多面的かつ広い視野から解釈して結論が導かれるようになるかもしれません。そこにはもはや、インパクトファクターはおろか論文の著者すらも存在しないでしょう。個々の研究者の評価はどうなるのかという問題はありますが、科学と技術の発展は人類の繁栄のためにあるのだとすれば、これこそが理想的なジャーナルの姿なのかもしれません。

 

次号では、ジャーナルでの論文掲載にまつわる問題に触れます。

 

20143

中西義信

 

(追記)

本学会のウェブサイトにさまざまな変化が生じつつあります。この「会長便り」の掲載に続き、「JB編集委員長より」が載り、今月初めには生化学誌の電子版が掲載されました。また、トップページの左側にある「企業広告」のバナーにお気づきでしょうか(学会財政健全化対策のひとつです)?そして近々、「学会掲示板(仮称)」が設けられます。これは、会員間で意見のやりとりを行うもので、学会執行部への会員からの要望なども書き込むことができます。自由な意見交換も行われますが、“本学会のDORAへの署名(会長便り第1号を参照)”や“大会運営のありかた”など、話題を限って討論することにも利用したいと思っています。どうかご期待ください。 

JB編集委員長より を掲載しました。

JB編集委員長より を掲載しましたのでぜひご覧ください。https://www.jbsoc.or.jp/chiefeditor/jb01.html

会長便り第3号:Open-accessジャーナル

 日本生化学会会員のみなさん、

 

今回と次回とで、私たちが研究成果を公表する主要な場である学術雑誌(ジャーナル)のありようについて考えたいと思います。 

 

生命科学の分野では、ほぼすべてのジャーナルが電子化されて久しく、冊子体の発行をやめて電子版のみになったものも多く見られます。生化学系ジャーナルの老舗Journal of Biological Chemistryの冊子体もなくなりました。“電子ジャーナル”は迅速かつ効率的な検索を可能とし、自分が望む内容の論文を瞬く間に探し出すことができるのはもちろん、自分の研究分野に近い論文の出版を電子メールで知らせてくれるサービスもあります(Science 343:14)。論文をチェックする方法はこの20年ほどの間に、「雑誌をぱらぱらめくる」から「PCで最新号の目次を見る」→「最新号をキーワード検索する」となり、さらに「“論文見つかりアラート”がスマートフォンの端末に届く」のように変化しました。もはや“少し離れた領域の論文を読んでアイデアがひらめく”ことは望むべくもありません。論文の発表と閲覧の電子化は、さまざまな手間や時間・費用を軽減する効果を与えたものの、マイナス面も生み出していることを頭におく必要があるかもしれません。 

 

ジャーナル購読の形態にも大きな変化が起こりました。個別に発行されていたジャーナルを大手の出版社が傘下に収める動きが広まり、多種類・多数のジャーナルを持つ“メガ出版社”が誕生しました。ElsevierSpringerがその代表であり、私たちのJournal of Biochemistryも現在はOxford University Pressが刊行するジャーナルのひとつになっています。メガ出版社は“パッケージ商品”を販売します。これは、複数のジャーナルをグループ化して一括販売する仕組みで、そこに含まれるジャーナルの個別購読料の総額よりも低いパッケージ価格が設定されています。パッケージにはあまり利用されないジャーナルも含まれる場合が多いのですが、購読契約したジャーナルの数を競う大学の図書館はこぞってこのパッケージを買い、その結果としてジャーナル購読に充てる費用が大きく膨らみました(私の勤務先では年に数億円がこれに投じられています)。年々増大する購読料に困った大学は図書館が連携する組織などを通じて対策を講じようとしており、広まりつつある大学での研究成果リポジトリー(大学職員が発表した論文の最終原稿などを公開する制度)はその例と言えるでしょう。米国NIHは納税者のために、自身が提供した研究費により得られた成果を記述する論文を無料公開して欲しいと要望していますが、大手の出版社がこれに応じる気配はないようです。

 

一方で、open-accessジャーナルとよばれる、購読料を支払わなくても論文を読むことができる電子ジャーナルも存在します。2002年に登場したBioMed CentralBMC)は、幅広い学問領域をカバーするopen-accessジャーナル群を刊行しています。翌2003年にはPublic Library of SciencePLoS Biologyを創刊し、その後に他の学問領域のジャーナルが加わりPLOS Journalsとなりました。2012年には、Randy Schekman氏を編集長としてeLifeが鳴りもの入りで創刊されました。eLifeの前にはProceedings of the National Academy of Sciences of U. S. A.の編集長であったSchekman氏は、2013年にNovel Prize Physiology or Medicineを受賞し、昨年12月にはNatureScienceCell3つのジャーナルを取りあげて“私は商業主義にはしるこの3誌にはもう論文原稿を投稿しない”と発言して話題になりました。それでは、なぜopen-accessジャーナルの論文は購読手続きなしに読めるのでしょうか。それは、読者ではなく著者が閲覧に要する代金を負っているからです。著者がジャーナルに支払う費用はかなり高額で、BMCPLOSでは2,000 USドル前後を要します。さらに、Elsevier傘下のCell Pressが最近に創刊したopen-accessジャーナルCell Reportsの掲載料は5,000 USドルに設定されています。eLifeは米国のHoward Hughes Medical Institute、ドイツのMax Planck Society及び英国のWellcome Trustのスポンサーシップを受けており、掲載料は取らないとされています。全体がopen accessでなくても掲載された論文のいくつかが無料公開になっているジャーナルも増えています。著者は採択された論文をopen accessにするかどうかをジャーナル側からたずねられ、これを選択した場合の費用もおおむね高額です。たとえば、Journal of Biochemistryでの無料公開の費用(Open Access charge)は3,000 USドルです。Open accessが広まれば大学などの研究機関の経済的な負担は軽くなりますが、出版社が懐を痛めるわけではなく、論文を投稿する研究者への負荷が大きくなる仕組みができあがっているのです。

 

研究費申請の際には論文投稿に要する費用を計上することができます。今のやり方でのopen accessが普及すると、その項目に書き込む数字が大きくなり、研究費のうちの実験に充てられる金額が縮小してしまいます。私は、会員間で意見を交換し、この状態の改善をめざした学会としての働きかけの方向を探りたいと思っています。

 

次号では、各ジャーナルが掲載する論文の多様化に触れます。

 

20142

中西義信

平成25年度独立行政法人海洋研究開発機構研究報告会

平成25年度独立行政法人海洋研究開発機構研究報告会「JAMSTEC2014」開催のご案内

http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20140205/

日時:平成26年3月5日(水)13時00分 ~ 17時30分

場所:東京国際フォーラム ホールB7(Bブロック7F)

第88回日本生化学会大会(神戸ポートアイランド)

第88回日本生化学会大会、第38回日本分子生物学会 合同開催

開催日 2015年12月1日(火)~4日(金)
開催地 神戸市(神戸ポートピアホテル、神戸国際会議場、神戸国際展示場)
大会会頭 遠藤斗志也 (京都産業大学総合生命科学部)

研究材料の受渡しに関する新しい規則「名古屋議定書」の発効について

名古屋議定書の国内措置 (海外からの研究用生物試料取扱いの国内ルール)への対応についての重要なお知らせ(PDF231KB)

バックナンバー 2014年-2015年

第1号 : DORAによる論文評価標準の提言

第2号h indexによる論文業績の評価

第3号 : Open-accessジャーナル

第4号 : Negative data論文

第5号 : Sham journal

第6号 : Reproducibility Initiative

第7号 : Peer Review

第8号 : Rubriq Scorecard

第9号 : Reviewer Experiment

第10号: Author’s Responsibility

第11号: Thinking in Japanese

第12号: URA

第13号: Lip-sync conference

第14号: To make women visible

生命現象の分子基盤解析九州大学大学院理学研究院 生物科学部門
小柴 琢己

私が学位h25_2[1]を取得してから早12年が過ぎようとしています。大学院生当時、私は北海道大学・新田勝利教授のもとで、球状タンパク質のフォールディングに関する熱力学的な解析(生物物理学)を行っておりました。卒業が現実味を帯びてきたミレニアム(2000年)辺りに、今後の進路について真剣に考え始めるようになりました。今思えば非常に安直な思い付きだったのですが、卒業後はとりあえずアメリカへ渡り、そこで何年か研究生活を行いたいと考えておりました(その先まではあまり深く考えずに)。アメリカを留学先として選んだ理由としては、非常にライフサイエンス分野の研究レベルが高いことや、これまでの研究と少し方向性を変える際に異国の方が気兼ねがない点、また当時、野茂投手(ドジャース)が大リーグで華々しい活躍を魅せていたことも大いに私の気持ちを昂らせてくれました。

 そのような時に、Peter Kim教授(現・Merck)らにより発表された、ある論文(Chan et al., Cell, 1997)が私の目に留まったのです。その論文の詳しい内容については割愛するとして、簡単に説明すると「ウイルスが細胞に感染する過程を分子レベルで綺麗に説明したもの」でした。この時に、これまで生体物質として捉えていたタンパク質が生命現象と本当に繋がっていることを肌で感じた瞬間でした。(教科書的には、酵素が生化学的な現象を調節していることは理解していたつもりでしたが。)結局、この論文のファーストオーサーであったDavid Chanの研究室(カリフォルニア工科大学)に留学することになり、前半はHIV-1に関する研究、後半は研究テーマが変わり、現在まで続くことになる「ミトコンドリア」に関する研究を上記の点を意識して行ってきました。

 私たちがいま取り組んでいるミトコンドリア・ダイナミクス(現象)は、ようやくその認知度が徐々に増してきてはいますが、未だその生理的な意義をはじめ、分子レベルでの作用機序など、不明な点が多く存在しており、今後の研究課題としては事欠かない状況です。これからどのような切り口で研究を展開していくのか? この問いには、もちろんミトコンドリア・ダイナミクスに関与する様々な生理機能を突き詰めたいと答えますが、やはり最終的には分子レベルでその生命現象を解き明かせれば研究冥利に尽きるのですが。

観たいものを観る努力と才能国立遺伝学研究所 構造遺伝学研究センター
伊原 伸治

蛋白質を精h25_1[1]製してその特性を決める、明快な研究手法と蛋白精製の困難さに魅せられ、大阪大学の谷口直之先生の生化学教室の門を叩きました。なんとか学位をいただけるだけの仕事をして、さてポスドク先を選ぶにあたって、何の研究をしようと悩んでいました。生化学のみならず遺伝学を使えば面白い研究ができるのではないかと考え、当時理研CDBにおられた西脇清二先生の研究室で、線虫C. elegansの研究を始めました。理研CDBは、世界屈指の研究施設で、週ごとにあるセミナーでは、様々な生命現象を美しいイメージングで捉えたセミナーを聞くことが出来ました。そこで漠然とイメージングを取り入れて研究したいと考えるようになりました。

 ポスドクとして最初の論文を出した頃、Duke大学のDavid Sherwoodは独立したばかりの新進気鋭の若手研究者でした。彼の報告した細胞浸潤の実験モデルに魅せられた私はノースカロライナ州まで押しかけ、留学させてくれと頼み込みました。次年度に彼の研究室に無事に入ることができましたが、残念なことに研究をする予定だった細胞浸潤に破綻を示す変異体は、他のポスドクが既に手をつけていました。少しがっかりはしたものの、可視化基底膜と浸潤細胞は綺麗で毎日夢中で顕微鏡を観ていました。するとあるときに面白い事に気づきました。

 浸潤細胞は基底膜に穴を開けるのですが、その穴の大きさが発生段階で全く違うのです。初めは個体差だと思っていたのですが、どの個体をみても、穴の大きさは規則正しく拡大します。そこで穴の大きさを制御している分子機構が必ずあると確信して、その大きさがどうやって制御されているか?その解析に取り組むことにしました。この研究過程で常々感じていたのが、観ることの大事さです。浸潤は細胞と細胞外マトリックスが関わる複雑な現象ですが、それを定量的に取り扱うために、きちんと観ることが必要です。穴のサイズを研究してみたいと思っても、正確に観ることが出来なければ、研究をすることはできません。そして一番大事なのは何を観るか、です。可視化しても、“いい目”を持っていないと面白い現象を見逃してしまいます。

 周りからの適切なサポートそして光学機器の進歩も、研究を助けてくれました。ある蛍光蛋白質でマークした基底膜を作ったのですが、定量的に測定する事はできませんでした。そこで最新のEM-CCDカメラを購入して測定したところ、必要にして十分なシグナルを得ることができました。この基底膜の可視化は、現在行なっている基底膜の形成及び維持の研究へと展開しています。

 研究はいつも予想通りに進みませんが、新たな視点、新たな技術を取り入れることで突如としてブレークスルーを起こすことがあります。30代も終盤にさしかかりましたが、未踏の面白い現象を見出すことのできる“いい目”は、どうやったら身につくのか、まだわかりません。また研究の方向性を決めるにあたり、なにが一番の近道なのか、迷うばかりです。迷ってはいるけれども、研究を楽しみ、まだ字もよめないのに毎日楽しそうに絵本をみている1歳の息子にまけないように、毎日楽しく顕微鏡を覗いていこうと思っています。最後になりますが、これまでにお世話になりました諸先生、先輩、後輩の皆様に、この場をお借りして心より感謝いたします。